2010年5月26日水曜日

疲れない靴、どう選ぶ?

(2010年5月14日 毎日新聞社)

1日のかなりの時間身につけている靴。
足に合っていないと、歩きにくく疲れがちな上、履き続けることで
痛みやタコなど障害のもとに。
足に合った靴は、どのように選べばよいのか?

足に合った靴を選ぶには、まず足の特徴をつかむこと。

シューフィッターの大木金次さん(64)に、私(35)の足を見てもらった。
シューフィッターは、社団法人「足と靴と健康協議会」が
養成・認定している資格。
主に百貨店や靴の専門店に所属、全国で3134人が活動。
名前や所属店舗は、同協議会のホームページで調べることができる。

大木さんは、紙の上に私を立たせ、専用のペンを使って足の形を描いた。
描かれた左右の足形を見て、まず一言。
「左の小指と薬指の出っ張りが気になる。靴に当たりやすくないか?」
確かにそう感じていた。
靴によっては、長時間履いていて薬指のつめの内側が内出血したことも。

なぜ出っ張っているのか?
その理由も説明してくれた。
「土踏まずが沈み気味で、舟状骨がやや足の内側に出ている。
これが指の出っ張りにつながっている。このあたりが靴選びのポイントに」
大木さんの話を理解するには、足の骨格を知っておく必要。

足の骨格のうち、一番下にあるのは、かかとの踵骨と立方骨、
それにつながる小指と薬指の中足骨。
その上に、中指から親指にかけての中足骨とその根元にある
舟状骨が乗っている。

「2階建ての構造」になり、歩く際の衝撃を吸収できるよう、アーチ状を描く。
肩幅ほどに足を開いて自然に立つと、
「1階」にあたる足の外側に体重が多くかかっている。

私の場合、左足の体重が内側にかかって
土踏まずが沈み気味で、「2階」にあたる部分が
足の内側へ押し出され、その反動で「1階」の薬指と小指が
外側へ出て靴に当たりやすくなっている。

「こうした場合、土踏まずを下から支えてやる中敷きを入れることで、
緩和することが可能」

実際に靴を選ぶ時のポイントで、意外と気にしていないのが足の幅。
靴は大きさが同じでも、幅は異なる。
靴を買う時に試着し、何となく幅が広い方がゆとりがあって
歩きやすく、後から履けなくならないからよいと考えがちだが、
これは望ましくない。
大木さんは、「中足骨のあたりが、横からぴったり締まっていることが大事」

これは、歩く時の体重移動に関係。
体重は、まずかかとに乗り、次に小指と薬指の付け根あたり、
最後に親指のあたりで地面をけり出している。
「靴の幅が大き過ぎると、足が靴の中で滑ったり、土踏まずが下がって
体重移動がうまくいかず、つま先に力が入りにくく歩きにくい。
中足骨のあたりを締めてあげれば、そうしたことはなく、
つま先に力が入って歩きやすくなる」

つま先で地面をけって歩くのに、指先を靴の中で動かせる
余裕があることも必要。
靴を買ってからつま先が細く、歩きにくい思いをすることも。
こうしたことを防ぐため、靴を試着する際、
つま先立ちした状態でしゃがんでみて、違和感がなければ大丈夫。

かかとの大きさも、靴によってまちまち、
実際に履いてみてぴったり合ったものを選びたい。

足に合った靴選びは、子供にとっても大事。
アーチ状の骨格が形成され、土踏まずができるのは3歳ごろ。
人間の足の骨は、生まれた時には軟骨が多いが、
6歳ごろまで徐々に骨に変わり、体の成長とともにアーチも高くなる。

子供の足と靴の関係を長年調べてきた佐藤整形外科の
佐藤雅人院長(元埼玉県立小児医療センター副病院長)は、
「靴が足よりも大きくぶかぶかだと、子供は脱げるのを気にして
活発に走り回ることができず、骨格やアーチの形成にも影響する」

佐藤院長は、3~6歳までの幼稚園児約150人の足を調べた。
その結果、足の成長は1年間に0・5~1・5cm。
この結果から、「1年に1、2回は大きい靴に買い替えが必要。
大きさだけでなく幅も合わせ、動きやすいよう指先に余裕があるのがいい。
足に合った靴を履いて活発に運動することが、
健全な足の骨格の発育につながる」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/14/120238/

0 件のコメント: