2010年5月25日火曜日

当世給食事情(1)奇妙な献立偏る栄養

(読売 5月12日)

▽カレーうどんとアメリカンドッグ、小倉白玉、牛乳
▽みそラーメンとあんドーナツ、果物、牛乳
▽キムチ焼きそばとクロワッサン、イカナゲット、イヨカン、牛乳……。
栄養バランスの乱れたこんなメニューが、学校給食で出されている。

昨年末に出版された『変な給食』で、実態が明らかに。
著者は、『粗食のすすめ』、管理栄養士の幕内秀夫さん(57)。
長女が通う小学校の給食に疑問を抱き、10年以上前から
学校給食の献立表などを、保護者や学校栄養士らから集めてきた。

これらの情報をもとに、41自治体の公立小学校で、
2004~09年に出された給食73点を再現、写真入りで掲載、
本は話題を呼び、初版から半年弱で7刷、計4万5000部に。
保護者や学校栄養士らを中心に、反響も多数寄せられている。

幕内さんは、変な献立を、
〈1〉ドーナツとラーメンのような「超ミスマッチ献立」
〈2〉お菓子給食
〈3〉焼き鳥と焼きそばといった居酒屋風
〈4〉量や品数が少ない「貧乏給食」――などに分類。
その上で、献立全体に共通する問題点として、
砂糖と油を大量に使用する傾向。

「これらの給食は、脂質やエネルギーが過剰な一方、
食物繊維やビタミンが不足するなど栄養が偏っていることが多く、
子どもの健康を害しかねない」と、警鐘。

給食1回分で、栄養摂取基準を満たすのは難しいため、
献立は10回や1か月単位で考えることが多い。
同書で、給食が紹介された東京都内のある自治体も、
「ある1回分だけを見ると、栄養が偏るのもやむを得ない」と釈明。

幕内さんは、「子どもが好きなメニューの方が、食べ残しも少なく
無難と考えているのでは。
今の子どもたちは偏食傾向にあり、好きなもの中心だと
偏った献立になる。
『食べたい』ではなく、『食べさせたい』給食を出すべき

長崎大学の中村修准教授(52)(環境経済学、食育)は、
学校栄養士は、大半が献立作成について、訓練を受けておらず、
栄養バランスが良く、食べ残しの少ない献立作りに
苦労している場合が多い」、
変な給食が出現する背景を分析。
「このままでは、糖尿病など生活習慣病につながる危険がある」と警告。

栄養源として、食の教材として、学校給食の果たす役割が広がっている。
各地の取り組みを紹介。

◆学校給食

1954年施行の学校給食法によると、栄養士などが栄養管理を行い、
献立を作って提供。
公立小中学校では、自治体の努力義務だが、小学校ではほとんどが実施。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100512-OYT8T00322.htm

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