2011年2月1日火曜日

インサイド:スポンサーシップ 蜜月関係の新局面/3

(毎日 1月27日)

ニューヨーク中心部のタイムズスクエア近くに09年10月、
「アシックスストア」がオープン。
スポーツ用品大手のアシックスが、全世界に6店展開する
ランニング用品専門店の一つ。

降り積もった雪が道端に残る1月上旬。
42番街に面した明るい店舗は、多くのニューヨーカーでにぎわっていた。
最新のシューズやウエアなどを豊富にそろえ、
足の形を立体的に採寸して、最適なランニングシューズを探し出す
3D足型計測機も備えている。
「毎日数百人が訪れます」、ロバート・マクヘンリー店長。

「大きなマラソン大会が開かれる都市に旗艦店を出す」のが
同社の経営戦略。
4万人以上が参加する世界最大級の市民マラソン
「ニューヨークシティー・マラソン」の開催地ニューヨークへの出店は、
東京(2カ所)、ロンドンに次いで4店目。

◆NYマラソン商機に

同社は、20年以上前から、同マラソンの主要スポンサーに
名を連ねている(96~98年を除く)。
スポンサーとしての意味合いは、21世紀に入り、大きく変わった。

当初は、「情報の発信基地だから」と、
ブランドの認知に主眼が置かれ、大会に併設される
マラソンエキスポのブースでは、シューズの機能や会社の歴史を
紹介することに比重を置いていた。

赤字決算も経験した90年代後半の苦境期を経て、
「グローバル企業として生き残りをかける」(尾山基社長)ために、
ランニングを事業の柱に据えてからは、
販促活動とランナーのサポートを強く意識するようになった。

大勢の市民ランナーが参加する大都市の大会は、

格好のショーケースになる。
パリ、ローマ、ゴールドコースト、ムンバイ……と、
世界の市民マラソンで次々にスポンサーの座を獲得。
日本国内で初めての大規模な市民参加型マラソンとなった
「東京マラソン」も、07年の開催時からスポンサー契約を結んだ。

ニューヨークシティー・マラソンでは、予算規模を大幅に膨らませ、
タイムズスクエアに広告を出し、マラソンエキスポでは
アメリカンフットボールのフィールドほどある物販ブースを借り切る。
専門家を派遣し、足型計測機を持ち込んで、
シューズの選び方や走り方のアドバイスも行う。

「サッカーと言えばナイキ、アディダスが頭に浮かぶように、
カテゴリーのトップブランドを目指し、
ランナーとのコミュニケーションを第一に考えた」、土方政雄執行役員。
スポンサーではない大会でも、サポートブースは欠かさず出店している。

◆10年で売り上げ倍増

2月27日に行われる東京マラソンに、定員の10倍近い
33万5000人の応募があったように、世界中でランニング人口が急増。

ブームを追い風に、同社の連結売上高はこの10年間でほぼ倍増。
ランニングシューズの売り上げ増が大きく寄与。

同社が協賛する国際マラソン大会は現在約60を数え、
今年5月に開催予定のストックホルムマラソンでは、
初めて冠スポンサーになる。
スポンサーとしての「大会運営支援」と、メーカーとしての「販促活動」と
ががっちりとかみ合い、相乗効果が生まれている。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2011/01/27/20110127ddm035050154000c.html

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