2011年2月1日火曜日

残材をエネルギーに活用 気仙で実証事業

(東海新報 1月27日)

気仙の林地残材を、化石燃料の「代替エネルギー」として活用し、
停滞している「植林」の力に替えようと、木質バイオマス資源を活用した
画期的な美林づくりが始まっている。

地球温暖化対策のCO2排出量削減とあわせて、
〝一石三鳥〟の効果が期待。

木材価格の低迷で、林業家の植林意欲は低下し、
気仙全体では、国有林を除く民有林の主伐面積が年間約180㌶に対し、
主伐後に植林する再造林面積は約50㌶、28%にとどまっている。

植林を促進するには、再造林にかかる費用の低コスト化が課題。
これを一気に解決する方法として生まれたのが、
林地残材を回収して燃料に替え、植林しやすいよう機械を使って
地拵えし、削減したコストを再造林に回すというアイデア。

3市町で構成する気仙地方林業振興協議会
(事務局・県沿岸広域振興局大船渡農林振興センター)は、
本年度「木質バイオマス資源を活用した美しい森林づくりモデル実証事業
(振興局地域振興推進費110万円)に取り組み、
関係者20人が参加して、現地検討会が行われた。

モデル試験地は、大船渡市猪川町字善蔵敷の民有林1・9㌶
(スギ45年生~66年生、アカマツ45年生)と、
住田町世田米字山谷の民有林1・91㌶(スギ51年生~81年生)の2カ所。

気仙地方森林組合が作業を実施し、機械を使って丸太を伐り、
製材用や合板用に取った後、残った幹の先端部分や枝をチップ化し、
燃料材とするために集めている。
同時に、機械を使って次に植林しやすいよう、地拵え作業も行っている。

集めた残材は、新日本製鐵㈱棒線事業部釜石製鉄所へ運んで
石炭火力発電所で利用してもらっている。

新エネルギーの普及を図るRPS法が施行され、
木材に由来する生物資源である木質バイオマスが、
化石資源の代替エネルギーとして注目されていることに着目して
実証事業を開始。

善蔵敷のモデル試験地の見学会に参加した素材生産業の
㈲佐藤木材の佐藤太一社長は、
「採算的にもいいやり方では」と、美林づくりが進むことへ期待。

地拵えは、これまで人力で行われることが多く、
山谷のモデル試験地では、伐採搬出作業と一緒に機械を
そのまま使って同時に地拵えまで行うと、
最終的に地拵えコストが50%削減。

事務局の大船渡農林振興センターの平林慧遠技師は、
「木質バイオマス資源搬出の採算性は、地拵えとセットで行うことで、
よりコストを削減することができた。
後世のために、資源を循環をさせなくてはならない。
そのための資源循環システム」、
気仙版システムの構築に取り組んでいる。

http://www.tohkaishimpo.com/

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