2011年2月4日金曜日

国語力を鍛える(9)全員で思考過程を共有

(読売 1月20日)

筑波大学付属小学校で、行われた2年生の国語の授業。

黒板には、木の描き方を説明する文章が、
6枚のカードに分けられてバラバラに張られている。

「正しい順番に並べられるかな?」と、桂聖教諭(45)。
子どもたちが発言の根拠として挙げる「まず」、「つぎに」などの言葉を、
赤や青のペンで囲みながら、正しい順番に並べる方法を
見つけ出していった。

「パズルみたいでおもしろい。
ペンで色分けされるのも分かりやすい」と、小野寺絢美さん(8)。

「登場人物の気持ちをイメージで読み取らせるなど、
とかく国語の授業は曖昧になりがち。
それでは勘のいい一部の子しかついていけない」と桂教諭。

桂教諭は、誰でも分かる論理的な授業を目指し、
教科教育と特別支援教育の融合に取り組んでいる。

2009年5月、関東地方の国語科教師らと、
「授業のユニバーサルデザイン研究会」を発足させて代表に。

「曖昧な指示を具体的にするなど、発達障害の子に分かりやすい授業は、
ほかの子にとっても、楽しく、分かりやすいんです」と強調。
「焦点化」、「視覚化」、「共有化」を3本柱にした授業づくりを模索。

この日の授業では、順序を表す言葉を学ばせることに狙いを絞ることで、
活動を「焦点化」。

「視覚化」では、カードや色つきのペンを使い、聴覚情報を上手に
整理できない子にも、イメージをもって理解できるようにした。
論理を発見しやすくする仕掛けでもある。

「共有化」では、隣の子とペアになって答えを見つけさせるなど、
授業への全員参加を促し、クラス全員が答えだけでなく、
思考過程を共有できるように工夫。

自ら課題を見つけ、解決する力をつけさせようと、
話し合い中心の授業をしたこともある。

休憩する子が出てしまったため、子どもたちに黒板を指でささせる、
といった小刻みな表現活動を取り入れ、
授業のユニバーサルデザイン化を進めてきた。

「夏前から、子どもたちの発言が止まらなくなってきた。
今の授業の方が、確実に楽しいと思います」と、
桂教諭は子どもたちの成長を実感を込めて語る。

学力の優劣や発達障害の有無にかかわらず、
すべての子が楽しく分かり、できるようになるよう工夫された授業。
その試みは、国語科以外の教科にも広がっている。

◆特別支援教育

子ども一人ひとりのニーズに応じて、適切な指導と支援を行う教育。
従来の「特殊教育」に代わり、2007年度から制度化。
読み書きなどの習得が困難な学習障害(LD)、
衝動的に行動しがちな注意欠陥・多動性障害(ADHD)、
人との意思疎通が苦手な高機能自閉症などの
発達障害を対象とすることが明示。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110120-OYT8T00293.htm

0 件のコメント: