2011年1月30日日曜日

インサイド:スポンサーシップ 蜜月関係の新局面/1

(毎日 1月25日)

プロスポーツや国際競技大会の資金源として、
欠かせないスポンサーシップ。

支援企業側も、スポーツの持つ情報発信力を、
ブランド認知の向上などに役立てている。
その両者の蜜月関係が、スポーツビジネスの拡大などに伴って、
新たな局面を迎えている。

◇広告効果の評価進む

日本代表、本田圭佑(CSKAモスクワ)の先制ゴールが決まると、
フィールドを囲む発光ダイオード(LED)の看板の表示が、
一斉に青色に切り替わった。

サッカー・W杯南アフリカ大会1次リーグのカメルーン戦。
映し出されたのは、国際サッカー連盟(FIFA)パートナー、
「SONY」のロゴだ。

このゴールシーンは繰り返しテレビ放映され、
ソニーの看板広告は丸1日で43番組に延べ603回映り、
総露出時間は10分45秒に達した。
「CMスポット料金に換算すると、1億5000万円強に相当する」
メディア調査会社「ニホンモニター」(東京都)は、すぐに試算した。

◆技術革新で試算容易に

容易にスポンサー効果を数値評価できるようになったのは、
技術革新に負うところが大きい。

以前は、「目視」で調査を行っており、調査員がストップウオッチを
片手に録画したテレビ番組に、看板広告が映し出された回数と時間を
カウントしていた。

同社は、08年秋にデジタル画像認識システムを、
国内他社に先駆けて導入、機械調査に切り替えた。

テレビ番組の1秒を、1フレームとしてパソコン上に画像で切り出し、
画像マッチング技術によって、ロゴを自動検出してカウントする。

目視では、露出回数と時間の調査に限界があったが、
機械調査ではテレビ画面に占める大きさや位置のほか、
障害物にどの程度隠れていたかもデータ化できる。

露出時間にCMのスポット料金を掛け合わせれば、
瞬時に広告換算料金を算出できる。
スポーツはテレビドラマと違い、繰り返し放映される特殊なコンテンツだ」、
同社の韮沢美樹社長。

試合はテレビ中継のほか、各種のニュース番組でも取り上げられる。
スポンサー企業は、スポーツの持つ訴求力に期待して支援するのだが、
どの程度のパブリシティー(広告)効果があったのか、また見込めるのか。

スポンサー側の疑問に答える手段として、
露出量の調査依頼は近年、増えている。

◆インパクト数値化

同社は、露出「量」だけでなく、「質」を評価する新たな
調査・分析手法の開発にも成功した。

露出回数と時間が一緒でも、画面に映り込む大きさが違えば、
視聴者へのインパクトは違う。

画面の端よりも、中央付近に映っていた方が、認知度は高まる。
テレビ画面に映る広告のサイズや位置などのデータを加味して、
独自の指標「インパクト値」として数値化した。

サッカーW杯でのFIFAパートナーの看板広告。
02年日韓大会では、フィールドを囲む固定看板のうち、
3枚が割り当てられていた。

LED看板に代わった昨年の南アフリカ大会では、
全面を1社のロゴで埋め尽くせる。
表示時間は30秒間×16回の8分間(延長とロスタイムを除く)、
単独表示で画面に占める割合は大きくなり、
さらにLEDは視認性に優れる。
10年大会のインパクト値は、02年大会の2倍という結果。

露出量評価の研究が進んでいる米国では、
「CMと同程度の認知効果を得るには、
CMの10倍の露出時間が必要」、
「広告換算額が契約金の3~6倍であれば、広告価値の高い
スポンサーシップ」ということも分かってきた。

動画のインターネット配信など、メディアの多様化は一段と進む。
「画像認識と比べ、音声認識技術の活用は遅れている」(韮沢社長)
のも実情だ。

スポンサー企業のニーズを受けて、広告効果の評価・測定技術の
さらなる進歩が求められている。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2011/01/25/20110125ddm035050133000c.html

0 件のコメント: