(読売 4月7日)
厚さ約9mm、163ページの冊子は、
2年間にわたる授業改善の記録。
福井市立円山小学校は2008年度から、
文部科学省指定の学力向上実践研究を行っている。
07年度の全国学力テスト(学テ)の成績は、
国語、算数とも全国平均を上回った。
基礎を見るA問題に比べ、活用力を問うB問題の出来が悪かった。
同小は、学習状況調査で「読書好き」と答えた割合が、
全国をかなり下回ったことに注目、読解力育成を研究テーマとした。
特に力を入れたのが、校内向け公開授業。
これまで各教師年1回は行ってきたが、
授業提案だけに終わらせないよう工夫。
授業参観の教師がチェックするのは、教壇の教師の教え方ではなく、
それぞれの児童の様子。
「どの場面で、どう考え、どんな変化が見られたか」など、
個別の児童の反応をメモ。
授業後、参加教師全員がメモを基に、どうすれば多くの児童の
理解や思考が深まるのか検証。
脇田典子教頭(54)は、「複数の目で見ることで、
児童に合った指導・支援がより分かる。
参加した教師同士の意見交換は、視野を広げ、勉強にもなる」
08年度の学テでは、課題だった読解力で一定の向上が見られ、
「熟考・評価に深まりがない」、「児童の自発性を重視した
体験活動が不十分」という弱点も分かり、
09年度のテーマを、「総合的な学力の育成」に変更。
道徳の公開授業で、田中悦博教諭(44)は、
冬季五輪の男子フィギュアで銅メダルになった高橋大輔選手の
テレビ番組を見せて、個性を伸ばすことを考えさせた。
児童30人に対し、参観の教師は8人。
児童の積極的な発言が相次いだ。
授業後の検証では、細かな指摘もあったが、
「児童は予想以上に深く考え、経験と結びつけて、
自分を見つめ直すことができた」と評価は上々。
日々の授業も教師自身で検証できるよう、時間割のように
1週間単位で授業内容を記載する「週案簿」を作る。
教師は毎日、気づいたことなどを記入、校長や教頭に提出、
助言などを受ける。
「職員室でも、気軽に相談できる雰囲気を大切にしている」と
本多嘉文校長(58)。
不断の検証と情報の共有が、指導力の向上につながる。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100407-OYT8T00350.htm
0 件のコメント:
コメントを投稿