(2010年4月5日 共同通信社)
検定を終え、来春から小学校で使われる教科書。
写真や図解などをふんだんに盛り込んで、カラフルな内容に
なったのに伴い、色覚に障害がある子どもも使いやすいよう、
配色やレイアウトを改善した「ユニバーサルデザイン」を
取り入れた教科書も増えている。
赤と緑が同じような色に見えるなど、特定の色同士が
区別しにくかったりする色覚障害は、男性の約20人に1人、
女性の約500人に1人いるといわれ、関係者は、
「つらい思いをしていた子どもたちへの配慮が、
これを機会に今後も広がってほしい」と期待。
「色が変わって見えませんか」。
教科書会社「光村図書出版」の編集室。
書写の教科書を開き、サングラスのような特殊な眼鏡を掛けると、
赤い文字が黒に、薄いピンクと水色の背景が
どちらも薄い灰色に見えた。
同社は、レイアウトの際、色覚障害者の見え方を
疑似体験できる眼鏡と専用のパソコンソフトで配色をチェック、
専門家の助言を経て、教科書を仕上げている。
「識別しにくい色を隣同士にしたり重ねたりしない」、
「帯グラフは、色と色の境目に線を入れる」、
「吹き出しを付けて言葉で説明する」などの工夫を凝らし、
「赤色はいくつあるでしょう」といった設問はなくした。
教科書会社でつくる教科書協会は、色刷りページの割合の目安を、
学年や教科ごとに決めていたが1999年、
公正取引委員会が「自由競争を制限している」と排除勧告。
これを機に、フルカラー化が一気に進んだ。
「モノクロとフルカラーでは、見栄えが違う。
採択にも有利になると考えたのではないか」と協会担当者。
この流れの中で、色覚障害者は置き去りにされてきた。
NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構は、
「色覚障害のある子どもは、色が原因でその教科が嫌いになったり、
『間違ってるかも』と迷って、積極的に手を挙げづらくなったりする」と
指摘、「色づかいにも検定基準を設けるべきだ」と提案。
「教科書だけでなく、先生も子どもの特性を理解して
授業をしてほしい」
http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/5/118544/
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