(読売 4月10日)
4年生の教室。
挙手した児童4人がノートを片手に、黒板に書かれた
計算問題に向かった。
「どこを工夫したのか、『吹き出し』で書いてね」と
男性教諭が声を掛ける。
「12×4×25」を解く男児。
「=12×100」と書くと、その横に漫画のセリフのような丸囲みで、
「25mプール4回分を思い出して計算した」と書き込んだ。
「えー、プール!?」。
見ていた児童も、面白がりつつ納得した。
秋田県横手市立醍醐小学校は、
1学級30人以下の少人数授業に加え、2007年度から
児童が自分の考えを表現できるよう、「書く活動」に取り組み始めた。
「どの教科でも国語力が大事」(加藤功・前校長)との考えから、
算数や理科でも、なぜそうなるのかをノートに書かせ、
どんどん黒板前で発表させるのが特徴。
この成果もあり、同小は過去3年間の全国学力テスト(学テ)で
国語、算数とも好成績を挙げ、中でも活用力を問う「B問題」は、
全国平均点を大きく上回った。
県全体でも09年度、小6、中3ともに基礎力の「A問題」より
B問題の方が好成績。
「少人数授業で、自分の考えを話したり書いたりする学習に
力を入れてきたため」と根岸均・同県教育長(60)。
秋田県は、1960年代に行われていた旧学テでは、全国下位。
現在は、同県の指導法を見習おうと、他の都道府県から視察が
相次ぐまでになった。
教員の人事交流も現在、5道県から14人を受け入れる一方、
同数を派遣するなど、教育先進県としての役割も期待。
現場の教員には、視察対応の負担や好成績の維持という
プレッシャーも増した。
阿部昇・秋田大学教授(56=教科教育学)は、
「秋田の教員は、取り組みが間違っていなかったという自信を得たし、
何が良かったのかも分析できた。
秋田の学力は、さらに向上している」
根岸教育長と、同じく学テ上位を争う福井県の広部正紘教育長(66)を
招いた教育シンポジウムが、東京都内で開かれた。
両県とも塾が少ない地方都市で、大都市よりも
児童のつまずきに対応する補充学習などが求められている点、
学力向上に保護者や地域が協力的であることなど、
共通点が多く挙げられた。
学テは、自治体間に競争を生む面もある。
自治体同士が協力すれば、さらなる学力向上も可能に。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100410-OYT8T00217.htm
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