2010年4月16日金曜日

有人宇宙飛行に対する関心

(サイエンスポータル 2010年4月6日)

山崎直子さんが、初めて宇宙に飛び立った。
今回のシャトル飛行の主な任務は、国際宇宙ステーション(ISS)に
必要な実験機器などを運び、ISSから役割の終えた機器や
不要品を持ち帰ること。

ディスカバリーの発射成功を報じる新聞報道から、
宇宙開発に関する一般国民の関心の度合いを
推し量ることは可能だろうか。
解説的記事の中から、目を引く記述を探してみる。

「ISSでは、無重力を利用して新素材や新薬の開発につなげる
実験などが行われているが、『成果』はまだ出ていない。
飛行士の生活や一般向けの実験をする姿ばかりが伝えられがちで、
宇宙関係者には、『これで国民の理解が得られるのだろうか』との声も」
(朝日新聞2面「時時刻刻』欄)

「財政難の米国にとって、月や火星は現実的な目的地ではなくなった。
各国とも事情は似ており、『当面、ロケットの行き先はISSしかない』
(宇宙航空研究開発機構)」

「日本の宇宙開発予算は年間3,000億円、
このうちISS関連の費用が毎年400億円。
技術の進歩で、宇宙でしかできない実験が以前に比べ減ったことから、
費用対効果への疑問も生じ、有人宇宙飛行に対する
風当たりは強まっている」(読売新聞総合面「スキャナー」欄)

両紙以外に、これといった批判的な記述は見あたらないが、
ISSでの有人活動の成果や、なぜ日本が有人宇宙活動を
必要とするかについても、分かりやすい解説はなかった。

ISSで行われる実験について、研究者の多くは本当に意義が
大きいと思っているのか?

米国が当初はともかく、途中からISSにかかわってきた主な理由は、
将来の月や火星探査に備えた長期間の宇宙滞在に、
人間が耐えられることを裏付けるデータがほしかったからでは?
月探査や火星探査を有人でやる意義がどれほどあるのか?

国際宇宙ステーションでの飛行士たちの活動を、
子どもたちに科学への関心を持たせる
“大型科学コミュニケーション活動”ととらえているかのような
報道に、多くの国民は飽き飽きしてはいないか?

こうした疑問にこたえる記事がもっとあってよい。

http://www.scienceportal.jp/news/review/1004/1004061.html

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