2008年5月8日木曜日

抗がん剤の効率よい生産法につながる成果

(サイエンスポータル 2008年4月30日)

植物から抽出した抗がん剤として知られるカンプトテシンが、
ヒトのがん細胞などの増殖を抑える一方、
カンプトテシンを持つ植物の細胞にだけは打撃を与えない仕組みが、
千葉大学の研究チームによって解明。

カンプトテシンは、植物から得られる4種類の抗がん剤の一つ。
有機合成による製法は実用化していない。
キジュやクサミズキなどの植物を栽培し、抽出、精製。
急速な繁殖が難しく、より生産効率の高い植物が求められる。

今回の成果は、新たなカンプトテシン生産植物の開発を可能にすると期待。
千葉大学の斉藤和季教授、山崎真巳准教授、
スパート・シリカンタラマス研究員らは、キジュやチャボイナモリなど
カンプトテシンを生産する植物の遺伝子解析を行った。

カンプトテシンが抗がん効果を持つのは、DNAの複製や修復といった
細胞の基本的な機能に関与する「DNAトポイソメラーゼI」と
呼ばれる酵素の働きを阻害することで、がん細胞の増殖を抑える。

遺伝子解析の結果、カンプトテシンを持つこれらの植物の
DNAトポイソメラーゼIには、複数のアミノ酸変異が起きている。
アミノ酸変異は、カンプトテシンが効かないヒトがん細胞にみられる変異と同じ。

今回の研究成果は、抗がん剤が効かなくなったヒトのがん細胞の研究や、
カンプトテシンの効果が期待できないがん細胞を
いち早く確認する方法などにも役立つ。

http://scienceportal.jp/news/daily/0804/0804301.html

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