(毎日 6月29日)
グリーンITを掲げる富士通は、中期環境ビジョン
「グリーンポリシー2020」を策定、
「お客さま・社会への貢献」、「自らの変革」、「生物多様性の保全」
という3つの目標を掲げた。
環境負荷軽減を進める顧客の多様な要望に応えよう、という
同社の環境戦略を、野副州旦社長に聞いた。
--ITは環境問題にどのように貢献するか?
◆企業が、社会的ステータスを維持していくためには
今後、環境問題への取り組みを明確に。
木を何本植えたとか、工場に自然エネルギーを導入したとか、
それだけでは成果を実感できない。
ITのすごさは、省エネルギー化もあるが、CO2削減効果を数値化する、
つまり「見える化」にある。
--具体的には?
◆当社は、IT製品を納めるだけでなく、CO2削減のためのソリューション
(問題解決型の情報システム)を、08年度末までに160事例、提案。
病院では、「医療電子カルテ」や「医療画像システム」を導入すれば、
ペーパーレス化で紙資源節減や保管場所の縮小ができ、
CO2はそれぞれ30%、21%削減。
ある病院では、年間30万枚使用していたX線フィルムが不要に。
顧客向けの環境負荷軽減で、07~10年度に計約700万トン以上の
CO2排出量の削減を目標。
--2020年、国内で年間約3000万トンのCO2排出量削減を掲げている。
◆目標を達成するため、富士通自身が「環境を語れる企業」と
ならなくてはならない。
自らがITの利活用による実例を示すことで、
顧客のビジネス改善に貢献することが狙い。
--もう取り組みは始まっているか?
◆11月、群馬県館林市に「環境配慮型データセンター」が完成。
空調や電源などを効率的に運転させ、太陽光発電を活用。
独自の計測技術で、最適な電力使用を管理し、
従来の当社のデータセンターより約40%の省電力が実現。
--今後の課題は?
◆数字だけでなく、実現することが環境にどのように貢献するか、
何のためにCO2排出量を削減するのか、もっと説明する必要。
私は田舎に育った。
家の前には川が流れ、泳いだついでに小魚を捕り、
その魚が夕食になったりした。
木を植えること、川の水をきれいにすること自体が目的ではない。
同様に、ITは道具でしかない。
子どもたちのため、そうした環境をよみがえらせることこそが大切。
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◇のぞえ・くにあき
早大政経学部経済学科卒、71年富士通入社。
89年、初代の米ワシントン事務所長、日米貿易摩擦交渉などを担当。
08年6月から現職。福岡県出身。61歳。
http://mainichi.jp/select/science/news/20090629ddm008020017000c.html
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