(2009年6月16日 毎日新聞社)
一部の細菌などに対し、抗体を作りにくくしている
「免疫のブレーキ」と言える人体の仕組みを、
筑波大大学院人間総合科学研究科の本多伸一郎講師と
渋谷彰教授らが見つけた。
「ブレーキ」を一時的に外す薬を作れば、
ワクチン効果の増強などに応用できる。
15日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表。
細菌などが人体に入ると、体内のリンパ球が「IgG抗体」を作って攻撃。
表面を「多糖類」という物質で覆われた肺炎球菌などには、
IgG抗体ができにくく、ワクチンも効きにくい。
だが、理由は謎だった。
本多講師らは、働きがよく分からなかった別の種類の抗体
「IgM抗体」に注目。
リンパ球から、IgM抗体と結びつく受容体をなくしたマウスを、
遺伝子操作で作った。
マウスに肺炎球菌などと構造が似た化学物質を注射すると、
普通のマウスの約10倍のIgG抗体ができ、化学物質を攻撃。
12週間後に再び、同じ物質を注射すると、
IgG抗体の中でも攻撃力が強いものが、1度目の実験より約5割増。
こうした実験から、IgMが多糖類に覆われた菌などへの
IgG抗体の生産を抑えていると結論。
渋谷教授は、「IgMは、免疫が過剰に働きすぎて体を傷つけるのを
防いでいるのではないか。
ワクチン注射の際だけ、IgMの働きを止める薬を作れば
効果の増強につながるだろう」
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/6/16/102095/
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