2009年6月30日火曜日

免疫ブレーキ 筑波大教授らが解明 ワクチン増強応用も

(2009年6月16日 毎日新聞社)

一部の細菌などに対し、抗体を作りにくくしている
「免疫のブレーキ」と言える人体の仕組みを、
筑波大大学院人間総合科学研究科の本多伸一郎講師と
渋谷彰教授らが見つけた。

「ブレーキ」を一時的に外す薬を作れば、
ワクチン効果の増強などに応用できる。
15日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表。

細菌などが人体に入ると、体内のリンパ球が「IgG抗体」を作って攻撃。
表面を「多糖類」という物質で覆われた肺炎球菌などには、
IgG抗体ができにくく、ワクチンも効きにくい。
だが、理由は謎だった。

本多講師らは、働きがよく分からなかった別の種類の抗体
「IgM抗体」に注目。
リンパ球から、IgM抗体と結びつく受容体をなくしたマウスを、
遺伝子操作で作った。

マウスに肺炎球菌などと構造が似た化学物質を注射すると、
普通のマウスの約10倍のIgG抗体ができ、化学物質を攻撃。
12週間後に再び、同じ物質を注射すると、
IgG抗体の中でも攻撃力が強いものが、1度目の実験より約5割増。
こうした実験から、IgMが多糖類に覆われた菌などへの
IgG抗体の生産を抑えていると結論。

渋谷教授は、「IgMは、免疫が過剰に働きすぎて体を傷つけるのを
防いでいるのではないか。
ワクチン注射の際だけ、IgMの働きを止める薬を作れば
効果の増強につながるだろう」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/6/16/102095/

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