2009年7月4日土曜日

岩手大教授に学術賞 環境負荷が低い水酸化物を研究

(岩手日報 6月25日)

岩手大大学院工学研究科の成田榮一教授(62)は、
石こうや石灰、セメントなどの分野で優れた論文を発表した
研究者に贈られる、無機マテリアル学会の学術賞を受賞
北東北では初めて。
成田教授は、「長年続けてきた研究が評価され、うれしい。
今後の励みにしたい」と決意を新たにする。

受賞した研究テーマは、「層状複水酸化物(LDH)のインターカレーション
(取り込み)特性を活用した機能性ナノ複合体の創製」

LDHは、環境に対する負荷が低いなどの理由から注目、
成田教授は約20年間研究を続けている。

LDHは、電荷の異なる2種類以上の金属イオンからなる水酸化物。
正電荷を持つ基本層と、負電荷を持つ陰イオンで構成する中間層が
交互に積層した構造を持つ。

成田教授は、LDHの最も大きな特色である「層間の陰イオン交換性」を研究。
最近まで不明だったアミノ酸のような両性イオンや、
糖のような非イオン性分子を取り込む仕組みを明らかに。

LDH層間に、機能性有機成分を取り込む研究も進めている。
肌に刺激を与えることがあるUV吸収物質を層間に取り込むと、
皮膚に直接触れることを防ぎ、肌への負担が少なくなる。

成田教授は、「細胞、病原体などに薬物を効果的に送り込む
ドラッグデリバリー材、環境浄化に使う新しい材料の研究をさらに進めたい」

無機マテリアル学会は、1950年「石こう研究会」として設立、
1995年に現在名に改称。
学術賞は、同会の会員歴8年以上の正会員が対象。
本年度は、成田教授を含め3人が選ばれた。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090625_5

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