2009年12月31日木曜日

新しい波/328 フェンシング界その後/中

(毎日 12月19日)

就職せずに競技を続け、「ニート剣士」と呼ばれた
北京五輪フェンシング男子フルーレ銀メダリストの太田雄貴が、
その生活から抜け出したのは昨年11月。

太田を正社員として雇った森永製菓の
松崎勲・ウイダー事業本部長は、
「アスリートと我々の事業の懸け橋になってほしかった」と、
採用の理由を語る。

競技者が吸収しやすいように開発されたゼリー飲料を、
94年に「朝食向け」として売り出し、これが当たった。
現在まで10年以上にわたって、同社の稼ぎ頭に。
「スポーツの栄養補給のあり方を、一般消費者に
『平行移動』した結果」と松崎本部長。
スポーツのノウハウを活用することで、ビジネスチャンスが生まれる。
太田には、引退後もスポーツ界との橋渡し役を期待し、
契約社員ではなく、正社員として雇用。

今年4月、飲食・娯楽施設を経営するネクサス(群馬県高崎市)が
北京五輪代表の千田健太ら5人によるフェンシングチームを発足。
星野敏社長は、法大フェンシング部出身で国体に出場したことも。

大学までトップ選手でも、社会人となって競技に専念する場が
少ないフェンシング界。
北京五輪出場時の太田の所属は「京都クラブ」、
千田も「宮城クラブ」。
企業などの受け皿はなく、地元のクラブを所属先として登録。

ネクサスは、競技に専念してもらう一方、
引退後も社員として働けるようにと、選手を正社員として雇用。
日本フェンシング協会の藤原義和事務局長は、
「企業が、選手にフェンシング中心の生活を
準備してくれるのはありがたい」
こうした待遇を受ける選手は、まだ一部に過ぎず、
選手の雇用環境の整備は道半ば。

五輪での注目をきっかけに、好転し始めた競技者支援の動きを
どう維持、拡大していくか?
日本協会の張西厚志専務理事は、
「さらに受け皿を広げるには、まずは強い日本代表を作るしかない」
選手の強化と雇用。
フェンシング界にとって、課題の両輪。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20091219ddm035050004000c.html

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