2009年12月29日火曜日

幼児教育(3)数や図形 遊んで学ぶ

(読売 12月17日)

遊びのなかに、数や図形のセンスを養う仕掛けが。

京都市中京区の私立光明幼稚園。
遊んでいた年長組の男児が、友達に説明しながら、
12枚の折り紙を使って十二面体を作り始めていた。
興味深そうに見ていた友達が、「少しちょうだい」と、
何枚かを持って行ってしまい、パーツが足りなくなった。
「しょうがない。サイコロにしよう」と、
とっさに立方体に作り替えていった。

その様子を見守っていた田中雅道園長(57)は、
「単純に折り方を覚えている訳ではなく、
『折り紙を減らしたり、増やしたりしたらどんな形になるんやろ』と
考えてきた結果。
幼児としては、かなり高度な図形感覚が身に着いてきている」

同園では、伝統的に数や図形の遊びを積極的に導入。
特に、京都大学工学部で学んだ田中園長が園長に就任した
1989年以降、在園する3年間の発達を見通した指導計画の中に、
図形や数へ親しむ仕掛けを作り、子どもたちの興味を伸ばしている。

幼稚園では、よく遊びに取り入れるお菓子作り。
同園では、小学校入学を控えた年長組の3学期ごろ、
5人のグループでわざと半端が出る7個ずつのクッキーを
焼かせてみる。

子どもたちは1個ずつ分けた後、残り2個をどうするかと
あれこれ考える。
「2個を、五つに分けるにはどうするの?」と考える子もいれば、
「もう3枚焼いたらいい」と言う子も。
その過程で、数の感覚が自然と養われていく。

お弁当を食べる時や遊びのグループ分けも、
入園当初は5~6人程度。
それより多いと、人数を体感しにくい。
4歳くらいになると、「今日は1人休んでいるから、昨日より少ない」
と、数を意識するようになる。

田中園長は、「計算だけなら電卓にかなわないし、
小学生になってからでも十分に習得。
幼児期は、実体験を通じた知性を育むことに重点を置くべき

この日、アクセサリー作りを楽しんでいた年少組では、
教師が切り抜いて準備していた厚紙で、
立方体の「宝石箱」を作った。
意識しないで遊んでいても、こうした体験が、
大人顔負けの複雑な多面体の製作につながっていく。

年長組では、毛糸の指編みに熱中している子どもたちがいた。
編み目を数えながら、楽しむ編み物遊びは、
数の感覚の発達に効果的。

田中園長は、「園の取り組みが影響している結果かは
分からないが、卒園生の進路を聞くと、
大学では理系に進んでいる子が多いようだ」

教育的な意図が埋め込まれた遊びを通して、
知性につながる体験が蓄積されていく。

◆メモ

田中園長によると、折り紙は初歩的な折り方のなかにも
図形や数の要素が含まれ、親子で楽しむのに格好の教材。
高度な折り方を覚えるよりも、
折り方を説明できるようになるのが理想。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091217-OYT8T00310.htm

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