(読売 12月17日)
遊びのなかに、数や図形のセンスを養う仕掛けが。
京都市中京区の私立光明幼稚園。
遊んでいた年長組の男児が、友達に説明しながら、
12枚の折り紙を使って十二面体を作り始めていた。
興味深そうに見ていた友達が、「少しちょうだい」と、
何枚かを持って行ってしまい、パーツが足りなくなった。
「しょうがない。サイコロにしよう」と、
とっさに立方体に作り替えていった。
その様子を見守っていた田中雅道園長(57)は、
「単純に折り方を覚えている訳ではなく、
『折り紙を減らしたり、増やしたりしたらどんな形になるんやろ』と
考えてきた結果。
幼児としては、かなり高度な図形感覚が身に着いてきている」
同園では、伝統的に数や図形の遊びを積極的に導入。
特に、京都大学工学部で学んだ田中園長が園長に就任した
1989年以降、在園する3年間の発達を見通した指導計画の中に、
図形や数へ親しむ仕掛けを作り、子どもたちの興味を伸ばしている。
幼稚園では、よく遊びに取り入れるお菓子作り。
同園では、小学校入学を控えた年長組の3学期ごろ、
5人のグループでわざと半端が出る7個ずつのクッキーを
焼かせてみる。
子どもたちは1個ずつ分けた後、残り2個をどうするかと
あれこれ考える。
「2個を、五つに分けるにはどうするの?」と考える子もいれば、
「もう3枚焼いたらいい」と言う子も。
その過程で、数の感覚が自然と養われていく。
お弁当を食べる時や遊びのグループ分けも、
入園当初は5~6人程度。
それより多いと、人数を体感しにくい。
4歳くらいになると、「今日は1人休んでいるから、昨日より少ない」
と、数を意識するようになる。
田中園長は、「計算だけなら電卓にかなわないし、
小学生になってからでも十分に習得。
幼児期は、実体験を通じた知性を育むことに重点を置くべき」
この日、アクセサリー作りを楽しんでいた年少組では、
教師が切り抜いて準備していた厚紙で、
立方体の「宝石箱」を作った。
意識しないで遊んでいても、こうした体験が、
大人顔負けの複雑な多面体の製作につながっていく。
年長組では、毛糸の指編みに熱中している子どもたちがいた。
編み目を数えながら、楽しむ編み物遊びは、
数の感覚の発達に効果的。
田中園長は、「園の取り組みが影響している結果かは
分からないが、卒園生の進路を聞くと、
大学では理系に進んでいる子が多いようだ」
教育的な意図が埋め込まれた遊びを通して、
知性につながる体験が蓄積されていく。
◆メモ
田中園長によると、折り紙は初歩的な折り方のなかにも
図形や数の要素が含まれ、親子で楽しむのに格好の教材。
高度な折り方を覚えるよりも、
折り方を説明できるようになるのが理想。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091217-OYT8T00310.htm
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