2009年12月28日月曜日

インタビュー・環境戦略を語る:NTTデータ・山下徹社長

(毎日 12月21日)

NTTから1988年に分離後、日本最大のシステム開発会社(SI)に
成長したNTTデータ。
CO2排出量削減に向け、持ち前のITを駆使した
積極的な取り組みを始めている。
山下徹社長に、今後の環境戦略を聞いた。

--ITの地球温暖化防止への貢献が注目。

◆これまで、ITはコスト削減への貢献が求められたが、
CO2排出量削減が世界的な課題となるなか、
環境性が重視され始めている。
大量の紙を使っていた記録を、コンピューターシステムで処理したり、
テレビ会議システムの導入で車の移動を減らすことができる。

--09~12年度の経営計画で、初めて「環境志向経営」を掲げた。

◆環境志向を経営の軸に位置付け、
IT業界でリーダーシップを取りたい。
環境経営には、IT自体の省エネと、ITを活用した省エネの
両面から取り組む必要。
環境経営推進室を設置し、来春に向けて目標の設定や
それを実現するための投資計画を立案。

--IT自体の省エネではどのような取り組み?

◆情報システムの普及に伴い、サーバーを集中管理する
データセンターの需要が増え、CO2排出量も無視できない規模に。
08年から、消費電力を従来比で20%以上削減した
「グリーンデータセンター」を展開、
このセンターの給電方式は、従来は3回だった直流交流変換を
1回に減らし、消費電力を20%削減。

IT機器の省エネは、情報機器メーカーの主導だが、
この給電方式は、NTTデータがメーカーに提案して実現。

--ITを活用した省エネはどうか?

◆IT利用に伴うコスト削減効果は数字で分かるが、
CO2排出量削減効果は明確ではない。
環境効果は、顧客がシステム導入を判断する重要な要素。
わが社では、システムの導入による人やモノの移動量の変化に
伴うCO2削減効果を算出し、顧客の関心に応え、
導入が進むよう努めている。

--ITの利用が進めば、IT企業のCO2排出量は増えてしまう。

◆行政が申請書類の電子システムを導入すると、
申請を出す企業や市民が紙の使用量を削減、
ITは取引先や消費者など社会全体に環境効果が波及。
日本全体で、CO2排出量25%削減を目指すのなら、
企業単位で排出量を判断すべきではない。
ITの環境効果を、客観的に評価できる指標を、
NTTグループと協力して作り上げたい。
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◇やました・とおる

東工大卒、1971年日本電信電話公社(現NTT)入社。
01年NTTデータ取締役。経営企画部長、副社長などを経て
07年6月から現職。神奈川県出身。62歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/12/21/20091221ddm008020025000c.html

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