2010年1月1日金曜日

未来へのパス:全国高校ラグビーを前に/上 女子普及へ東西対抗戦

(毎日 12月22日)

大阪府寝屋川市の同志社香里高1年、堀内春香(15)は、
11月末に正式に「ラグビー部員」となった。
中学2年からクラブチームで競技を始めたが、
「レベルを上げたい」と入学前から清鶴敏也監督に
入部を申し込んだ。
清鶴監督は、熱意に押されて許可したが、
入部当初の扱いは「練習生」。
「これまで女子の入部はなく、危険と思った」と振り返る。

現在も、女子部員は1人。
激しいコンタクトプレー以外、練習内容は男子と同じ。
堀内のひたむきな練習姿勢に、清鶴監督は
「私の意識が変わった。男女一緒でも運営できると分かった」。
堀内も、「ハンドリングの基本ができるようになった」と上達を実感。

日本女子ラグビー連盟によると、
女子の国内競技人口は約1000人。
約半数がラグビースクール生。
小学生(中学生の一部含む)はラグビースクール、
中学生以上はクラブチームに所属するのが一般的。

クラブ間の試合は、日本協会の規約で中学生同士、高校生同士、
大学生以上同士と決められている。
安全面の配慮が理由だが、現状は人数不足で中学生、高校生の
チームの編成は難しい。
中学、高校に女子ラグビー部はなく、
この年代は試合をするにも苦労する。

強化に向け期待を担うのが、小学5年~高校2年で構成する
「ユース」の存在。
ユースは現在、関東、関西、東北、九州の四つ。
関西ユースには、堀内を含めてセレクションに合格した
約40人がおり、月1回(来年から月2回)練習。
同連盟の藤田有紀子・常任理事は、
「女子小学生が、中高生になってやめる現状を食い止めたかった」

今年、男女7人制が16、20年夏季五輪の実施競技に採用。
日本協会などは、女子7人制の普及、強化を目的に、
今大会の開会式後のエキシビションとして、
「女子7人制東西対抗戦」を開く。
堀内も、西軍のFWとして、晴れの舞台に立つ。

清鶴監督は、「(女子の入部は)安全性の確保と、
その子の熱意が大前提」としたうえで、
「五輪を考えれば、指導者側にも意識の変革が求められている」
藤田理事は、「将来的に、学校に女子ラグビー部が増えるのが理想」
女子の普及、強化をどう進めるか、模索は続く。

2019年ワールドカップの日本開催、16、20年の夏季五輪での
7人制実施が相次いで決まった。
27日開幕の全国高校大会は、今後の普及に向け、
大きな位置づけを担うだけでなく、参加選手は強化の中核世代。
未来を夢見る世代に、どんなパスを送れるのか?

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/12/22/20091222ddm035050018000c.html

0 件のコメント: