2010年11月10日水曜日

価値ある研究成果の鍵は目標設定に

(サイエンスポータル 2010年11月5日)

研究プロジェクトの野心的な目標設定、科学の進歩の方向を
見据えた目標設定が、被引用数が多い論文と並の論文を分ける鍵。

科学技術政策研究所と一橋大学が実施した大規模アンケート。
日本の科学者を対象に、約2,100件の回答を得た。

2001~06 年に発表された論文のうち、日本が関与しているものから、
被引用数が上位1%(トップ1%論文)と、それ以外の論文(通常論文)を抽出、
その著者に対し、論文を生み出した研究プロジェクトについて尋ねている。

どのような研究マネジメント(管理)を実施したかどうかを聞いた項目で、
最も多かったのは、「学会発表を通じた情報の共有・研究の評価」。
トップ1%論文の著者の91.0%、通常論文著者の90.6%が行ったと答え、
論文の価値いかんにかかわらず、学会発表という場、行為を
重要視していることを裏付け。

「ミーティングを通じたチーム全体での情報共有」も、
同様にいずれの論文著者とも重要な研究マネジメント。

興味深いのは、「研究プロジェクトの野心的な目標設定」と、
「科学の進歩の方向を見据えた目標設定」が、
トップ1%論文を生む率が高く、かつ通常論文に比べ、
その差が大きく出た研究マネジメントである。

「研究プロジェクトの野心的な目標設定」を実施したという答えが、
トップ1%論文著者で70.4%を占め、通常論文著者は58.5%しかいない。
「科学の進歩の方向を見据えた目標設定」を実施した
トップ1%論文著者が78.6%、通常論文著者は67.2%と明らかな差。

面白いことに、同じ目標設定でも、
「社会の進む方向を見据えた目標設定」となると、
実施したのはトップ1%論文著者、通常論文著者とも44-45%と低く、
トップ1%論文著者の方が通常論文著者より、社会の進む方向を見据えた
目標設定を実施している人がわずかながら少ないという結果。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1011/1011051.html

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