2010年11月13日土曜日

新聞活用に備える(6)多様な授業 ヒント学ぶ

(読売 11月4日)

「新聞を使う授業は、先生の創意で何通りにもできます。
それだけ自由性、可能性があります」

杉並区立西宮中学校で、区内中学の国語科教員約30人を対象に
夏期研修会が開かれた。
講師は、本紙NIE企画デザイナーの鹿野川喜代美さん。
新聞活用学習(NIE)の経験が長い元中学国語教師で、
読売新聞東京本社でNIE関連業務に携わっている。

最初の教材は、サッカーW杯で日本が惜しくもPK戦で
勝ちを逃した時の新聞6紙。
「日本8強逃す」など、残念な気持ちを込めた見出しが多かったが、
「日本完全燃焼」と健闘をたたえる見出しもあるなど、
同じニュースでも、新聞によって取り上げ方が違うことについて学んだ。

「先生が教えてもいい。
生徒が気づいたら、それをほめてあげる。
子どもが発見、評価する意欲、自信につながります」と鹿野川さん。

次は夕刊。
イルカと一緒に、イルカのような尾びれを足につけた男性が泳ぐカラー写真。
逆境にあった男性がイルカに励まされ、いつか恩返ししたいと
夢を抱いているという内容の記事がつく。
いったい、どんな授業ができるのか。

「あきらめかけていた男性の思いが、なぜ変わったか考えさせたい」と
西村絵真・同区立中瀬中学校教諭(36)。
久保山憲・同区立井草中学校教諭(27)は、
「イルカと男性が、どのような会話をしているのかを想像するのも面白い」と提案。

「思いつく英単語をどんどん書く」、「恩返しという言葉に注目し、
支え合いについて考えさせる」など、様々なアイデアが出された。

「思いのほか、いろいろやり方があるんだな」――。
新聞活用が教育の可能性を広げることを、
先生たちは実感した様子。

大阪府教育センターで開かれた小中高校の教員向け講座の講師は、
元本紙北京特派員の中津幸久・読売新聞大阪本社編集委員(51)。

国際面の記事を取り上げ、記事だけを読んで
見出しを考えるクイズを出した。
見出しを考えるには、文章を熟読してポイントをつかまなければならない。
「人と比べると良い見出し、悪い見出しがよく分かる」、
「文章の構成を理解し、評価するのも言語力を磨くのにいい」といった声。

新聞活用を盛り込んだ新学習指導要領の実施を前に、
戸惑う教員は少なくない。
新聞活用は、教科でも目的でもなく、あくまで手段。
気軽に取り組めるようになるには、先生たちが実際に
体験してみることが早道のようだ。

◆新学習指導要領

2011年度から小学校、12年度から中学校、13年度から高校で実施。
いずれも言語力を育む方法として、新聞活用を推奨。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101104-OYT8T00198.htm

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