2010年11月9日火曜日

新聞活用に備える(3)司書講習で「調べ学習」

(読売 10月29日)

白衣の女性医師が、男性の胴回りをメジャーで測り、
「88cm。メタボですね」と宣告。
観客から笑いがこぼれる。

新聞記事や手作りの漫画を手に、寸劇を演じているのは、
司書教諭を目指す学校の先生や学生たち。
信州大学教育学部で、司書教諭の免許認定講習の一コマ。

司書教諭には、子どもたちが様々な情報源を活用して
学習できるよう、学校図書館などで支援する力が求められる。
特に、情報源として手軽で信頼がおける新聞を使いこなす技術は重要。

1科目30時間の5科目で構成される同大の司書講習のうち、
学力と密接な関係がある「学習指導と学校図書館」の講習では、
新聞が大いに活用された。

4日間の講習は、子どもの視点で学んでもらおうと、
グループによる調べ学習を中心に進められた。
与えられた課題は、「子どもたちが、やがて社会で遭遇する問題を考える」

講師の下田好行・明治学院大学教授(51)は、
「子どもたちが、興味や関心を持てる内容にしてください」と注文。

参加した長野県内の小中高校教師や学生ら32人は、6班に分かれ、
テーマを決めて調べ学習をスタート。
初日は、信濃毎日新聞社の協力を得て、
同社のデータベースからふさわしい記事を検索し、
市立図書館やインターネットでも資料を探した。

2、3日目には、集めた材料を整理して構成を決定。
最終日の4日目、各班が30分ずつ見せ方を工夫しながら成果を発表。

冒頭のテーマ「いつかメタボ」を選んだのは、
高校教師が中心の「余分3兄弟チーム」。
肥満は、様々な病気の予備軍になること、
だから運動と食生活に注意すべきだということを、
漫才のような掛け合いで説明。
女性医師役の教師が、「適度な運動と生活習慣を保ち、
元気な“ちょいメタ”でもいいかも」と話をまとめた。

同チームによると、メタボを意識した食品の登場や、
医療費抑制のため、メタボ社員の多い企業に罰金を課す動きなど、
社会的な広がりを知る上で、新聞が役に立った。
長生きの人には、意外にメタボがいるという調査結果や、
脂肪のおかげで病気にかかりにくく、脳にもいい場合があるという
専門家の指摘も、新聞記事で見つけた。

患者役を演じた大塩昌・同県木曽青峰高校教諭(44)は、
「私は、メタボ対策の商品を調べたが、いろいろなことが新聞で分かった。
現場でも応用できそう」と達成感に浸っていた。

司書講習に、NIE(新聞活用学習)を取り入れる例はまだ珍しい。
「知識基盤型社会には、知識情報を集めて評価し、
自分の考えを表現して、他者とやりとりする能力が不可欠だ。
それを磨く新聞活用には、もっと手間をかけてもよい」と、下田教授。

◆司書教諭

学校図書館法で、12学級以上ある小中高に配置が義務づけ。
10単位分の専門講習を履修すると、免許が取れる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101029-OYT8T00189.htm

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