2010年11月7日日曜日

新聞活用に備える(1)読み方 まず教師が学ぶ

(読売 10月27日)

「どんな写真がいいでしょうか?
リード(前文)、本文、見出しを手がかりに、六つの写真から選んでみましょう」

夏休みに入った7月下旬、秋田県五城目町立大川小学校の教室で
開かれた新聞活用教育(NIE)の講習会。
講師の伊藤暢・同県総合教育センター指導主事(47)から、
授業のノウハウを学ぶのは、同小と近隣の小学校の先生たち。

教頭を含め、ベテランがそろった8人の先生に渡されたのは、
2008年4月、北京五輪の聖火ランナーが長野市内を走った
模様を伝える新聞2紙の社会面のコピー。
中国のチベット弾圧に対する抗議活動を懸念し、
厳重な警備が敷かれた様子を、批判も込めた見出しで、
「市民置き去り」、「警備が壁」、「笑顔硬く」などと伝えている。

記事コピーは写真を抜いてあり、その代わりに写真6枚のコピーが
一緒に配られた。
教員は2人一組に分かれ、「この写真はランナーの表情が硬いから、こっち」、
「市民がないがしろにされている写真は、この見出しにぴったり」などと
意見を出し合った。

「面白い。普段から新聞を読んで、授業で使えそうな記事を
スクラップしたい」と意気込むのは、大川小の小玉薫教諭(50)。
同県では、新学習指導要領の完全実施を前に活発化する研修会で、
教師たちが新聞の読み方を学んでいる。

記事の内容に合う写真や見出しを選ばせるこの学習方法は、

秋田大学付属小学校の国語の授業で、数年前から実践。
担当の小室真紀教諭(40)は、
「同じテーマの記事でも、複数紙で写真や見出しを比べて読めば、
内容の構成や表現方法、狙いの違いを吟味できる」

全国学力・学習状況調査でトップ級を維持する同県で、
県NIE推進協議会長を務める阿部昇・秋田大付属小校長(56)は、
「秋田では、多元的に情報を読み取る土壌が培われ、
総合的分析を必要とするPISA型学力が比較的高い。
新聞の活用は、それをさらに磨くことにつながる、極めて有効な手法

同県の教員採用試験では05年度から、
1次試験「総合教養」の時事問題は、すべて新聞社説から出題。
出典も全国紙、地方紙、経済紙、英字紙と幅広い。
県高校教育課は、「新聞を読むことで、社会を見る目のほか、
表現力や国語力が向上する。
学生時代から、新聞を読む習慣が大切」と狙いを明かす。

教育先進県のNIEは、教える側が新聞を読むことから始まっている。


新聞活用を盛り込んだ新学習指導要領が、
小学校は来年度、中学校では12年度から完全実施。
授業で新聞を使いこなすには、どんな準備をしたらいいのか?
11月1日に始まるNIE週間を前に、各地の取り組みを追った。

◆PISA型学力

様々な情報から自分で問題を見つけ、論理的に組み立てて解決する力。
経済協力開発機構(OECD)が各国で調査。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101027-OYT8T00171.htm

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