2010年11月12日金曜日

新聞活用に備える(5)生徒が編集 効果再注目

(読売 11月3日)

「うまい作りだな、読ませ方が上手だな、と思わせる紙面。
こちらは、取材が決定的に不足している」。
率直なコメントに、先生たちがうなずく。

会津若松市の県立葵高校で開かれた、全国学校新聞指導者研修会。
新聞作りや新聞活用教育(NIE)に携わる高校教員らが活発に交流。

60回目を迎えた伝統の研修会。
1980年代、参加者100人以上と盛況だった時期の後、
社会的な活字離れの中で、低調な時期が続いたが、
近年、再び脚光を浴びている。

その背景には、NIEの普及により、「子どもたちを育てる上で、
活字の力は大きい」と、学校新聞の教育効果が再認識。

今年は、約50人が各地から参加。
テーマは、「学校新聞は学びのフルコース~新聞づくりの意味を見直そう」。
初日は、実践報告やグループ討議など、2日目は初心者向けの
新聞制作講習を実施し、「新聞づくりとNIE」など
三つの議題で分科会も開いた。

実践報告では、滋賀県立彦根東高校の鈴木真由美教諭が、
同校の学校新聞について発表。
年8~10回の定期発行のほか、学校行事などを臨機応変に取材した
号外を出すようになり、昨年度は143回を発行。
この結果、学校新聞が校内だけでなく地域でも注目され、
部員の士気も高まってきたことを紹介。

好評だったのが、多数寄せられた高校新聞の中から、
審査希望のあった新聞について、ズバリ講評する「新聞クリニック」。
適切な見立てで知られる、元高校教諭で新聞指導のベテラン、
三村達道さん(72)が担当。

長崎県立西陵高校の新聞は、タブロイド判の6ページ。
三村さんは、「内容が豊富で、よく取材して書いている。
方言特集は興味深く読ませた。
囲み記事を全部長崎弁で書くと面白い。論説にも挑戦している。
部員でもっと討論すれば、より説得力のあるものになる」などと指摘。

「生徒たちに励みになる。
もらったアドバイスは、次号から生かしていきたい」、
今春、同高新聞部顧問を引き継いだ中村晋教諭(37)。

A4判と小ぶりながら両面刷りで、速報性を重視して発行しているのは、
宮崎県立宮崎大宮高校の新聞「言ノ葉」。
三村さんは、「まず題字がいい。
タイムリーに、口蹄疫問題も取り上げた。
学校文化祭も、『いよいよあす…』と、ニュースを先取りし、
校内世論の形成にも役割を果たしていることがわかる」と評した。

編集の特徴や工夫の分かりやすい解説に、
聴衆の先生たちは大いに参考になった様子。
学校新聞の達人の技は、時代を超えて脈々と受け継がれている。

◆学校新聞

児童生徒が協力して編集する中で、自主性や協調性が養われる。
理解力、判断力、言語力の向上などの教育的効果や
学校生活の改善にもつながるとされる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101103-OYT8T00299.htm

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