2010年11月8日月曜日

新聞活用に備える(2)研修で「楽しさ」実感

(読売 10月28日)

若い先生たちが、集めた記事を割り付けし、
見出しを付けて新聞に仕上げていく。
中には、床に模造紙を広げ、腹ばいになって作業する人も。

東京都北区教育委員会の初任者研修が8月、
南房総市にある同区の研修施設で開かれ、
今春、区立の小中学校に採用された37人が参加。

2泊3日の合宿研修で、新聞活用学習を扱うのは2時間ほど。
実際に手や体を動かして面白さを実感してもらい、
教室でその面白さを、子どもたちに伝えてもらおうというもの。
色ペンやハサミを手にした先生たちは、
「見出しに飾り模様を入れるのも楽しいわね」、
「その新聞名、いいじゃない」などと、にぎやかに取り組んでいた。

同区立神谷小学校の世取山拓平教諭(23)が作った新聞の主見出しは、
「暑い夏、全員がヒーロー!」。
「甲子園球児たちの汗と涙を紹介し、誰もが活躍できる
可能性があることを教えたい」
熱中症も多かったため、「楽しい夏と怖い夏」という小見出しも。

生死不明の高齢者が、次々に明らかになった事件を、
「偽長寿大国?」という見出しで表現したのは、
同区立明桜中学校の根岸昭子教諭(27)。
「近隣同士の思いやりが少なくなり、老人や子どもが社会から
見えなくなっている。救うには何が必要か、コラムにした」

英語が専門の根岸教諭は、現実社会に目を向けず、
自分しか見えない子が多いことも気になる。
「新聞の国際面を、異文化理解教育に活用して、
井の中の蛙から脱皮させたい」と意欲的。

作業を見守っていた松塚智加子・指導主事は、
「どれも新学期からすぐ授業に取り入れられます。
楽しさを実感できたようでよかった」

同区では、昨年度策定した「北区教育ビジョン2010」に、
「新聞大好きプロジェクト」を盛り込み、重点施策として位置づけ。
新聞に親しみ、社会の出来事に興味を持つことで、
児童生徒の思考力、判断力、表現力、問題解決能力などを
伸ばそうというものだ。
教員の意識的取り組みも必要だと考え、研修の様々な場面で
新聞活用学習を導入。
初任者研修もその一環だ。

昭和初期に、滝野川尋常高等小学校で新聞学習に取り組み、
「新聞学習の発祥の地」を自任する同区。
若い教員は、新聞を読む時間が少ないのも現実。
初任者研修の参加者37人のうち、新聞を毎日読むのは1人だけで、
読まない者は13人もいた。

矢口仁・教育指導課長(53)は、「総合的な言語力向上のため、
新聞教育をさらに活性化したい」

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101028-OYT8T00172.htm

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