2011年1月20日木曜日

国語力を鍛える(6)「書く力」磨き即戦力に

(読売 1月14日)

茨城県高萩市の県立高萩清松高校で行われた
1年生の「国語総合」の授業。
生徒は、これまでに取り組んだボランティア学習を
振り返りながら、その報告書をまとめていた。

「ボランティアをする側とされる側があるように、
文章にも書く側と読む側があります。
あやしい漢字は、辞書を使って調べるように」

揚石俊志講師(31)がそう言いながら、かごに入った辞書を
生徒に配って歩く。
ところが、辞書はクラスの半数分しかない。

「辞書を貸し借りすれば、他人の文章も目に入り、
そこにコミュニケーションが生まれる。
だから、全員分は用意しないんです」。揚石講師が説明。

総合学科高校としてスタートした同高は2008年度から、
実社会で活用できる国語力の育成に力を入れている。
柱に据えるのは、報告書の作成、手紙を書く、メモを取る、の三つの活動。
ボランティアは、学校設定科目「産業社会と人間」(産社)で
取り組んだ学習で、産社と国語科との連携を進めている。

総合学科運営部長の鈴木健司教諭(50)(国語科)は、
コミュニケーション力をつけさせるという狙いは、
国語も産社も同じで、連携した指導が有効。
漠然とした題材ではなく、自分が体験したことを文字にすることで、
生きた文章が書けるようになる」

駅前清掃などを報告書にまとめた渡辺唯奈さん(16)は、
「大変でもやりきった喜びと、感謝される喜びがあるので、
自らボランティアをやってください」と、後輩たちへのメッセージを記した。
「漢字も覚えてきたし、書く力もついてきた。
国語が得意になりました」

2年次以降も、介護実習の報告書の書き方を「国語表現」で指導するなど、
国語科と他教科の連携を進めている。
メモを取り、報告書にまとめ、仲間の文章にも目を通す。
こうした学習の繰り返しで、正確な報告書を書くには、
具体的なメモが不可欠なこと、よく伝わる文章を書くには
読み手の立場になることが大切なことが分かってきた。

「書くことが苦にならなくなったという生徒は、確実に増えてきており、
3年間の取り組みがつながってきた」と鈴木教諭。

卒業すれば、社会からは即戦力として期待される生徒たち。
その重圧をはねのけるため、国語力を磨くことが求められている。

◆総合学科高校

普通科と専門学科の両方の科目を学べる第3の学科として、
1994年度に導入。
幅広い選択科目の中から、生徒が自分の進路に合わせて学びたい
科目を選べるのが特徴。
高萩清松高の場合、2年次から人文科学、自然科学、機械テクノロジー、
情報ビジネス、福祉・生活科学の5系列に分かれる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110114-OYT8T00150.htm

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