2011年1月19日水曜日

脳の回復、血中酸素の割合で予測

(2011年1月12日 読売新聞)

救急搬送された心肺停止患者の脳機能の回復見通しを、
脳の局所的な血中酸素の割合「酸素飽和度(rSO2)」から
予測する方法を、大阪府済生会千里病院千里救命救急センターの
伊藤賀敏・心血管内治療室長らが開発。

rSO2が25%以下だと、9割が24時間以内に死亡した一方、

26%以上の場合は4割が社会復帰し、
値が高い人ほど回復程度が良かった。

適切な治療法を素早く選択し、救命率を高めることに生かせる。
阪神大震災などの大規模災害時に搬送された患者の
治療優先順位を決める「トリアージ」にも活用できる可能性。

脳の神経細胞は、心停止で血流が長時間止まると死滅するが、
心拍再開後も細胞死が進み、脳死や植物状態に至るケースがある。

伊藤室長らは、心臓のバイパス手術などをする際、
麻酔科医が、前頭葉の大脳皮質を流れる血液中のrSO2を計測して
脳の状態を把握し、呼吸や血圧などの管理の目安にしていることに着目。
rSO2は、酸素を運搬するヘモグロビンの血中濃度から求められ、
近赤外光を額に10秒程度あてるだけで計測できる。

同センターへ一昨年4月から1年間に搬送された18歳以上の
82人について、来院から3分以内のrSO2を測定。
健康な人のrSO2は80~50%、82人のうち、25%以下だった52人は、
47人が24時間以内に死亡。
残りの5人も脳機能が回復せず、感染症などで亡くなった。

26~40%の9人は6人が死亡、1人が植物状態になったが、
2人は社会復帰できた。
41%以上では21人中、5人が死亡、5人が脳に重い後遺症が残った
状態で転院したものの、10人が社会復帰し、1人は軽い後遺症で済んだ。

4月から、大阪大、京都大、慶応大など国内の計10施設と共同研究を計画。
伊藤室長は、「rSO2の値を高く保つ治療をすれば、
社会復帰の可能性が高まるだろう。
数値の常時監視で、効果的な蘇生治療も行える」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/13/130919/

0 件のコメント: