2011年1月16日日曜日

お口ポカン要注意 フィルター・加湿機能持つ鼻、病気や虫歯の恐れ

(2011年1月9日 毎日新聞社)

電車の中などで、口を開きっ放しにしている子どもを見かける。
人間は、一般的に鼻で呼吸する。
口呼吸が癖になると、細菌などを取り込みやすくなり、
病気にかかるリスクが増え、歯の成長にも影響。
インフルエンザや花粉が気になる季節に、
子どもの「お口ポカン」問題を考えてみた。

神戸市内の主婦(35)は、4歳になる長男が、生後半年ごろから
日常的に口を開いていることが気がかり。
「たまに閉じることもあるが、寝ている時も含めていつも開いている」、
歯がいつもむき出しになっているので、転倒した際に前歯が欠けたことも。
口を開ける癖がない長女(7)に比べ、虫歯になりやすく、すでに5本治療。
「口を閉じようね」と促しても、すぐに忘れて口を開けてしまう。
「健康にも悪そうなので、すぐに直したい。どうすればいいのか」と
医師を受診したことも。

「恒常的に口呼吸してるなら、早めに耳鼻咽喉科の診察を受けてほしい」。
千葉大大学院医学研究院の岡本美孝教授(耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学)。
口呼吸が長引けば、「のどの炎症や睡眠障害など、
さまざまな病気を招く恐れがある」

鼻の内部には、左右それぞれに複雑な形をした三つの突起があり、
表面の粘膜や繊毛で、ホコリや微生物などの異物を取り除く働きがある。
のどを痛めないように、外部の乾いた空気に湿り気を与え、
温めてから体内に取り込む加湿や加熱の機能もある。
鼻は、においを感じる機能だけでなく、体内に異物が入るのを防ぐ
フィルターの役目を果たしている。

岡本教授によると、子どもが口呼吸する原因として、
アレルギー性鼻炎などによる鼻づまりのほか、鼻の奥にある
「アデノイド」の肥大などが考えられる。
アデノイドは、微生物に対する免疫力を作るリンパ組織の一種、
通常は3~4歳をピークに一時的に大きくなるが、その後は小さくなる。
炎症などによって腫れてしまうと、鼻呼吸をしづらくなり、
いつの間にか口呼吸が習慣化する場合。

乳児用品メーカー「ピジョン」などが01~02年、
2~23歳までの約1000人を対象に普段、口が閉じているかどうかを
聞いたところ、「閉じる習慣がついている」と答えた保護者や本人は39%。
「いつも開いている」と答えた人は22%、
3歳以下では29%と最も多く、13歳以上でも15%。

口呼吸は、歯の成長にも影響を与える。
ひかり歯科医院の三谷寧院長(歯学博士)は、
「口を開けたままにしておくと、唇や舌の位置が定まらず、
歯並びも悪くなる恐れがある」

歯並びをよくするため、
(1)唇を結ぶ、
(2)上下の歯を軽く閉じている、
(3)舌は上あご部分に触れる位置に落ち着いている――
の三つの習慣を身につけることが重要。

三谷院長は、「歯やあごなど、顔面の成長が著しい3歳ぐらいまでに、
習慣付けてほしい」

口呼吸は、虫歯になるリスクも高い。
三谷院長は、「口を開いたままだと、口内が乾いて、
唾液の循環が悪くなり、歯を溶かす細菌が増えやすくなる」
歯を守るためにも、早めに鼻呼吸を定着させたい。

◇口笛、鼻歌で改善

茨城県日立保健所は、独自の「お口ポカン度チェック」で、
保護者に指導を行っている。
一つでも思い当たれば、口呼吸が習慣になっている可能性が。
口を閉じる癖をつけさせる遊びなども勧めている。
同保健所の担当者は、「口笛など遊びを通して、
鼻呼吸を習慣化させてほしい」
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◆「お口ポカン度チェック」

・テレビを見ている時などに口が開いていないか?
・のどがよく渇かないか?
・口から歯や舌が見えていないか?
・食事の際、くちゃくちゃ音をさせていないか?
・歯ぐきが赤く腫れていないか?

◆口を閉じる習慣を身につけるには

・口の中に空気を入れほおを膨らませる
・にらめっこ
・ハミング(鼻歌)
・口笛を練習する

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/11/130708/

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