2011年5月13日金曜日

医療の疑問にやさしく答える 患者力トレーニング 美しく長く… 福岡・患者塾

(2011年5月3日 毎日新聞社)

キャンディーズのスーちゃんが、55歳の若さでこの世を去った。
「普通の女の子になりたくて」、キャンディーズが解散したのが昭和53年。
視聴率という数字だけで評価される世界に絶望して、
放送の仕事をやめ、僕が医学部に再入学したのも昭和53年。

スーちゃんは女優として復帰。
僕も、数字以外で評価される道がきっとあると考え直し、
ホームドクターとしてテレビに出るように。
スーちゃんには、ファンとして特別な思いがある。
女優として、もっともっとがんばってほしかった。
くやしいと言う思いが、時間の経過と共に募って行く。

ちゃんと検診を受けていれば、おそらくこんなことには
ならなかったのではないか。
きっと仕事が忙しかったりさまざま事情で、
乳がんを早期に発見することができなかったのでしょう。
その事情を知る術は、僕たちにはない。

この患者塾でも、乳がん検診を受けてほしい、と何度も訴えて来た。
30歳~64歳の女性のがん死亡原因の第一位は、乳がん。
僕の知人の女性で、若くして世を去った人の多くは乳がん。
そんな話をすると、かなりの女性が乳がん検診を受けてくれる。

継続して受け続けてくれる人は多くない。
「あんな痛い検査はもういい」、
「要精密検査と言われ、精密検査を受けるが、
経過観察のままで数年がたち、中途半端な状態に耐えれない」という理由。

それぞれの理由は十分に理解できる。
安全のためには、手間暇やお金や多少の痛みと言う代償がどうしても必要。

近くPEMと言う新しい乳がん検査の器械が、日本でも使えるようになる。
マンモグラフィー程は痛くなく、5mm以下のしこりでも見つかり、
しこりを触れない乳がんも発見可能。

それぞれの女性にそれぞれの思いがあるが、
多少の心と体の痛みと、費用と時間という代償を払ってでも、
美しく長く生きる道の方を選んでほしい。
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◇相談室

Q・ずっと咳が続いている

咳がずっと続いている。
近くの先生にみてもらったら、「がんの可能性もないし結核でもない。
おそらく咳喘息だ」と、アドエアと言う喘息の吸入薬を処方。
それでもほとんど改善しない。
何か変な病気ではないかと心配。福岡市中央区、38歳、女性

A・アレルギー性咽喉頭炎の可能性も

かぜが治った後2週間くらい咳がつづく場合、咳喘息を疑う。
喘鳴ではなく、咳が主な症状の喘息で、気管支拡張剤で改善。
咳喘息は、昼間より床に入ってからの方が症状が激しいのも特徴。

この人の場合、夜昼問わず咳が出て、かぜが引き金と言う訳でもない。
肺の感染症や腫瘍、喘息の可能性が低く、
心臓や食道の病気などの可能性もなければ、
一番考えられるのは「アレルギー性咽喉頭炎」

喘息の薬が効かないことを、今かかっている先生に伝え、もう一度相談して。
アレルギーの薬を新たに処方するか、耳鼻咽喉科の先生を紹介してくれる。

Q・白内障と緑内障。手術の順番は

糖尿病で網膜症のチェックのため、眼科に通っているが、
白内障と緑内障の両方があると言われた。
手術が必要と言われているが、順番はどちらが先がいいのか?
かかりつけの先生は、「白内障かな?」と。北九州市小倉南区、72歳、男性

A・両方同時に手術することも

白内障も緑内障も、加齢とともに進行するため、
両方を併せ持つことは珍しくない。
白内障は、水晶体が濁るために見えにくくなる病気。
緑内障は、眼圧が上がるために、視神経を圧迫して
視野が狭くなるなどの症状が出る。

緑内障が軽く、手術がまだ必要でない場合、
白内障の手術を優先する。
緑内障が手術が必要な状態だったり、白内障の術後に
眼圧が上がる可能性のある場合などは、
両方同時に手術することがある。

この人の場合、糖尿病もあり、内科医と眼科医で緊密な連絡をとって、
熟練した眼科医に手術してもらう必要がある。
納得行くまで相談して。
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回答まとめ・小野村健太郎さん

質問は事務局へ
〒807-0111 福岡県芦屋町白浜町2の10「おのむら医院」内
電話093・222・1234 FAX093・222・1235

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/6/136118/

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