2011年5月10日火曜日

気仙沿岸水産加工場、今秋本格稼働へ準備 水産加工場、サンマなど見据え

(東海新報 5月7日)

東日本大震災による大津波で、甚大な被害を受けた
気仙沿岸の水産加工場は、サンマをはじめ秋漁に合わせた
本格稼働に向けて準備を進めている。

大船渡市の誘致企業・阿部長商店大船渡食品では6日、
新卒採用5人を迎える入社式を開催、早期再開を誓った。
倉庫内にあった水産物の埋設作業も進んでいるが、
今後はライフライン復旧や修繕費用の助成など、
行政側の支援充実が急がれている。

阿部長商店大船渡食品の工場は、大船渡町欠ノ下地内にあり、
敷地面積は約4・5㌶。
施設は鉄骨4階建て、建築面積は約1万4300平方㍍。
市道野々田川口橋線に沿う形で、冷蔵庫棟が整備され、
盛川沿いに加工場棟を置く構造。

昨年8月から一部稼働し、11月には竣工式を盛大に開催。
サンマやイカ、イサダなどを扱い、2階部分に整備した加工棟も
今年1月から動き始めた矢先、東日本大震災による大津波の被害。

冷凍庫、冷蔵庫を中心とした1階部分は甚大な被害を受けたが、
2階の機械設備には大きな損壊はなかった。
同社では、早期稼働に向けた準備を進め、
現時点では7月中の一部操業、秋漁が始まる8月中旬以降の
本格稼働再開を目指している。

再開に向け、まず求められたのは、倉庫内に入っていた水産品の処理。
日数が経過して悪臭も鼻を突く中、厳しい作業を強いられた。
大船渡食品では、従業員に加え、気仙出身の今春入社予定者5人も
自主的に参加。
献身的な姿勢を受け、「会社の一員として早く迎え入れよう」と、
本来6月に開催する予定だった入社式を前倒し、開催。

工場2階で行われ、幹部職員のほか、大船渡食品で勤務する
従業員約50人が参加。
阿部泰浩社長は、「地域に残ることを選択した皆さんは、大事な宝。
従業員一丸となってがんばりましょう」とあいさつ。
阿部泰兒会長も、早期復興に向けて激励の言葉を寄せた。

一人ひとりに、阿部社長から辞令が交付、
新入社員を代表して鈴木早希子さんが、
「今回の経験を乗り越えていくことで、
復興への絆を深めていくことが大事」と決意。
その後は作業に入り、倉庫から出した水産品の処分にあたった。

「夏場の一部操業、秋漁本格化」を目指す動きは、
他の水産加工場でも見られる。
カツオ漁に合わせ、6月の営業再開を目指す大船渡魚市場では、
夏にはサバ、秋には全国でも上位の実績を誇るサンマの水揚げを控える。

サンマは、県外船籍の漁船も多く、受け入れ機能が整えば、
まとまった水揚げが期待。
経営者から、「来シーズンを待っていては、流通から忘れ去られる」と、
早期再開を急ぐ声が聞かれる。

工場が集積していた地域の多くは浸水域にあり、
まずは電気や水といったライフライン復旧が最優先。
これまでの設備資金返済に、新たな復旧費用分が重なる
「二重債務」の負担は大きいとして、
公的機関に支援を求める動きも広がっている。

気仙沿岸の加工業者で構成する大船渡湾冷凍水産物協同組合の
佐藤泰造理事長は、「だんだん具体的な動きは出ているが、
売り上げを管理していたコンピューターの復旧など課題は多い。
再開に向けた事業主のやる気をつなぎ続けるのが、我々の役割」

http://www.tohkaishimpo.com/

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