(2010年2月22日 共同通信社)
冬晴れの空気がすがすがしい日曜日。
東京・代々木公園で、北京五輪入賞の英国人マラソンランナー、
マーラ・ヤマウチさん(36)の指導を受け、約20人がストレッチ。
東京マラソンを、小児がんの子どもと、その家族を支援する
募金のために走る「チャリティーラン」の仲間たち。
米国人女性キンバリ・フォーサイスさん(45)の姿も。
呼び掛けたのは、キンバリさんが理事長を務めるNPO法人
「タイラー基金」(東京)。
タイラーは、小児白血病のため、1歳11カ月で亡くなった息子の名前。
東京で働く父を訪ね、1990年に来日、英国人のマークさんと結婚。
2003年、2人目のタイラーちゃんが生まれた。
「長女と比べると、何かおかしい」
生後約1カ月で白血病と判明、国立成育医療センターに入院。
キンバリさんの骨髄を移植、05年6月、タイラーちゃんは逝った。
「どこかに行きたい。全部忘れたい。体をチェンジしたい」
長女を連れ、ハワイで休暇を取ったが毎日、泣いてばかり。
立ち直りのきっかけをくれたのは、
「エネルギーをいいことに使おうよ」というマークさんの言葉。
タイラーちゃんの入院中、同じ病気の子どもを持つ夫婦3組が離婚。
「日本には良い医療があるが、子どもや家族を力づける支援がない」
ことを痛感した。
06年、NPO設立。
イベントを通じて募金を集め、07年春にはセンターで、
病気の告知段階から臨床心理士が家族に寄り添う
カウンセリングを始めた。
昨年4月、患者のきょうだいを預かったり家族がくつろいだりできる
宿泊施設も設置。
「先生に聞きにくいことも相談できた」と感謝するのは、
2歳の娘が小児がんで入院していた都内の30代女性。
「治療は大変だけど、病院のつらいイメージと違い、
親子で楽しく過ごせました」と無事退院した娘を抱いた。
センターの熊谷昌明医長も、「診療で一番のストレスは、
患者とのいさかい。
心理士は、医療者と患者をつなぐ役割を果たしている」と評価。
「マラソンなんて大嫌い」と、10キロに初挑戦のキンバリさん。
「でも、タイラーのために走りますよ」と笑顔でいっぱい。
※チャリティーラン
海外で盛んな募金活動。
ランナーは参加費の一部を寄付したり、走ることで
家族や友人らから寄付金を集める。
タイラー基金が実施するのは、今回の東京マラソンで3回目。
登録人数と集めた寄付金は、2008年が74人と約1200万円、
昨年が67人と約800万円。
問い合わせ、http://www.tylershineon.org/
http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/2/22/116366/
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