(読売 5月13日)
カーニバルで有名なリオデジャネイロは、
サンパウロと並ぶブラジルの経済、文化の中心で、人口約800万人。
コパカバーナ、イパネマなど、世界的に有名な海岸を持つ美しい都市。
五輪招致は、2004年、12年に続く3度目の挑戦。
短所は、交通と治安。
交通面では、空港や道路など社会基盤の整備が遅れ、
他の都市と比べ、競技会場が分散。
海岸や湖、山が多いため、車の流れが分断、移動に時間がかかる。
治安面では、犯罪の多さが気がかり。
犯罪の種類も、軽犯罪だけでなく、拳銃を使った強盗事件など、
凶悪なものが多い。
麻薬密売組織の抗争に治安当局が介入しての銃撃戦が
昼夜を問わず起き、市民が巻き添えになることも。
丘に小さな家が密集する低所得者居住区は、「ファベーラ」と呼ばれ、
犯罪の温床で、その人口は全国で650万人。
交通問題の解決策について、地下鉄建設のような
大規模インフラ整備は資金不足でできず、パエス市長は、
「シカゴや東京のようには金がないが、アイデアで勝負する」と
五輪関係車両専用レーン案や一般車両の乗り入れ制限案を
持ち出すが、効果は未知数。
治安問題も、根深い土壌があり、一朝一夕には解決しそうにない。
他の都市と比較して課題ばかり目立つ状況だが、
リオ招致委は、「パッション(情熱)」というかけ声を持ち出し、
その課題を逆手に取る作戦。
ヌズマン招致委会長は、「南米初の開催は、リオだけでなく、
すべての発展途上国に五輪のドアを開けるもの。
五輪を利用して、貧困に苦しむ人々を救い、社会の構造を変えたい。
世界中の子どもたちが希望を持てるよう、
スポーツには若い人たちに対し強い責任がある」
これに対する国際オリンピック委員会(IOC)評価委員会の
態度はクールだ。
リオ視察の総括記者会見で、ムータワキル委員長は、
「我々は技術面の調査に来た。報告書に載せるのは調査した部分」
評価委の態度だけで、「リオの情熱が無視された」と判断するのも早計。
報告書に載るのは技術面だが、最終的に投票するのはIOC委員。
報告書は、投票の参考にされ、投票行動に強制力を持たない。
南米初開催の可能性に共感する委員の票を
呼び込む可能性は、否定できない。
http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/syouchi/sy20090513_01.htm
0 件のコメント:
コメントを投稿