2009年5月19日火曜日

五輪招致(中)リオデジャネイロ 交通・治安に難、情熱頼み

(読売 5月13日)

カーニバルで有名なリオデジャネイロは、
サンパウロと並ぶブラジルの経済、文化の中心で、人口約800万人。
コパカバーナ、イパネマなど、世界的に有名な海岸を持つ美しい都市。
五輪招致は、2004年、12年に続く3度目の挑戦。

短所は、交通と治安。
交通面では、空港や道路など社会基盤の整備が遅れ、
他の都市と比べ、競技会場が分散。
海岸や湖、山が多いため、車の流れが分断、移動に時間がかかる。

治安面では、犯罪の多さが気がかり。
犯罪の種類も、軽犯罪だけでなく、拳銃を使った強盗事件など、
凶悪なものが多い。
麻薬密売組織の抗争に治安当局が介入しての銃撃戦が
昼夜を問わず起き、市民が巻き添えになることも。

丘に小さな家が密集する低所得者居住区は、「ファベーラ」と呼ばれ、
犯罪の温床で、その人口は全国で650万人。

交通問題の解決策について、地下鉄建設のような
大規模インフラ整備は資金不足でできず、パエス市長は、
「シカゴや東京のようには金がないが、アイデアで勝負する」と
五輪関係車両専用レーン案や一般車両の乗り入れ制限案を
持ち出すが、効果は未知数。
治安問題も、根深い土壌があり、一朝一夕には解決しそうにない。

他の都市と比較して課題ばかり目立つ状況だが、
リオ招致委は、「パッション(情熱)」というかけ声を持ち出し、
その課題を逆手に取る作戦。
ヌズマン招致委会長は、「南米初の開催は、リオだけでなく、
すべての発展途上国に五輪のドアを開けるもの。
五輪を利用して、貧困に苦しむ人々を救い、社会の構造を変えたい。
世界中の子どもたちが希望を持てるよう、
スポーツには若い人たちに対し強い責任がある」

これに対する国際オリンピック委員会(IOC)評価委員会の
態度はクールだ。
リオ視察の総括記者会見で、ムータワキル委員長は、
「我々は技術面の調査に来た。報告書に載せるのは調査した部分」

評価委の態度だけで、「リオの情熱が無視された」と判断するのも早計。
報告書に載るのは技術面だが、最終的に投票するのはIOC委員。
報告書は、投票の参考にされ、投票行動に強制力を持たない。
南米初開催の可能性に共感する委員の票を
呼び込む可能性は、否定できない。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/syouchi/sy20090513_01.htm

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