2009年5月21日木曜日

起業へ一念発起 その時どうする

(日経 5月13日)

このビジネスモデルなら、家族を養えるぐらいの収入は得られる。
そう考えて、独立開業を検討しているビジネスパーソンがいるかも。
いざ、実行するとなると、様々な問題に直面する。
会社を円満に辞めるための手順や、
スムーズに起業するうえでの注意点を整理。

◆ホップ:公表時期計り円満退社

「起業を準備していることは、会社にはずっと黙っていた」
化学物質管理に関するコンサルティング会社、
テクノヒル社長の鈴木一行さん(53)。

鈴木さんは、3年前に化学商社大手の長瀬産業を退職し、
今の会社を立ち上げた。
円満退社できた秘訣は、「信用を失わないようにしたこと」

独立開業を決意したからといって、すぐに公言すると、
「いずれここから去っていく奴」と周囲に嫌われる。
社内の悪評は、取引先にも伝わる。
起業後の経営にも、悪影響を及ぼしかねない。

鈴木さんが退職を切り出したのは、
ベトナムの子会社の社長就任を打診されたとき。
会社にとって、きりの良いタイミングに打ち明ける配慮が、
円満退社には欠かせない。
「古巣からは仕事は来ませんけどね」と苦笑。

「立つ鳥跡を濁さず」という姿勢も必要。
退職通知を出した直後、有給休暇を消化したり、担当していた仕事を
後任に引き継がなかったりすれば、人間性を疑われる。

勤めていた会社と同業種で起業するなら、競業禁止規定に抵触しないか、
ノウハウを流用しても大丈夫かを確認することも不可欠。
最悪の場合、会社に訴えられることもあるので注意。

◆ステップ:創業には支援施設活用

円満に退社できたら、会社設立の手続きを進める。
必要な書類をそろえるのは一苦労。

2008年、携帯電話向けサイトのプロデュースを手掛ける
アウターリーフを設立した山本正憲社長(35)は、
ノウハウ本を参考に自分で手続きを進めたが、
「どの書類をいつ、どこへ提出しなければいけないのか、分からなかった」

司法書士や行政書士の助けを借りて手間を省くのが一般的だが、
通常の手続き費用(約30万円)に加え、手数料が約15万円かかる。
良心的な資格者に巡り合えるとは限らない。

頼りになるのが、国や地方自治体が運営する創業支援施設。
テクノヒルの鈴木さんは、大阪市が運営する「大阪産業創造館」を利用。
創業に関するセミナーを開き、電話やメールで専門家に相談できる。
実際に会って詳しく話を聞くことも可能。
費用も、無料または数千円と安い。

創業支援施設には、多くの起業家が集まる。
会社を立ち上げたばかりのころは、不安を抱えがち。
山本さんも、「先輩起業家の助言が大きな助けに」

ビジネスが、計画通りに運ぶことは極めてまれ。
うまくいかないと、原因が分からずに落ち込んでしまいがち。
自分では気が付かないことも、他人から見ればすぐに分かる場合が多い。
創業支援施設で、人脈をつくっておくことは起業の支えに。

◆ジャンプ:書類作成、専門家を味方に

会社を立ち上げるには、「設立登記」という手続きが必要。
「設立登記申請書」を、法務局の出先機関である登記所に提出し、
受理されれば会社が誕生する。

設立登記申請書には、様々な書類を添付しなければならない。
最も重要なのが、会社の基本事項を定めた「定款」

定款には、以下の項目を記すのが一般的。
(1)社名や屋号、
(2)商品名を示す商標、
(3)事業目的、
(4)本店(本社)所在地、
(5)資本金の額と現物出資の対象物(土地や建物、知的財産権など)、
(6)株式の一株当たりの金額、
(7)役員の人数と任期、
(8)決算とする月。
定款は、登記所に出す前に公証役場で法的な文書としての認証を受ける。

設立登記後も、提出しなければならない書類は多い。
本社を置く市区町村には、法人設立届出書や定款の写しなど、
管轄の税務署には、法人設立届出書や税金の計算方法に関する書類など。

従業員を雇えば、労働基準監督署に報告、
ハローワークで雇用保険、社会保険事務所では、
年金や健康保険などの手続き。
税理士や司法書士など、頼りになる専門家を見つけておくことが肝心。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz090513.html

0 件のコメント: