2009年4月12日日曜日

スポーツ21世紀:新しい波/298 市民マラソン熱/6

(毎日 4月4日)

国内唯一の夏の本格マラソンで、トップ選手、市民ランナーが
ともに走る北海道マラソン(札幌市)は、第23回を迎える今年、
大きく様変わりする。

これまでフルマラソン4時間以内が目安だった出場資格を、
同5時間まで緩和。
5000人だった規模も8000人と拡大させ、
北海道大構内や道庁赤れんが庁舎などを巡るコースに変更。

大会概要は今年1月、高橋はるみ道知事が新年会見で明らかに。
将来的には時間制限を撤廃し、数万人規模にすることも視野に入れ、
「(制限7時間の)東京マラソンに対応するような、
北海道マラソンになればいい」と将来像を語った。

札幌市のランナーのチーム「ナイアガラ・マラソンクラブ」
(宮岡達也会長、約100人)は07年、高橋知事に北海道マラソンの
時間延長を陳情。
この年から、市民に対する理解を深める意味も込めて、
制限時間7時間の大会を独自に開いてきた。

宮岡会長は、「北海道マラソンが、将来的には東京とは違う個性を持つ
大会として、市民に愛されて発展すれば」と歓迎。

大会関係者が最も心配するのは、暑さだ。
テレビ放映の事情もあり、今年も午後0時10分スタート。
ここ数年は、30度前後まで気温が上がり、32度を記録した07年は
完走率52%と異例の過酷さ。
時間延長は、ランナーにとって敷居が低くなる半面、
熱中症などの危険性も高くなる。

当初9月開催だった北海道マラソンは、トップ選手強化の考えから、
時期が繰り上げられた経緯がある。
五輪、世界選手権が夏開催である以上、その役割は重みを増している。

道道民活動文化振興課の橋本裕二主幹は、
「今年は新しい規模で、医療体制も万全にして実施したい。
そこで浮かんだ問題点から、今後の方向性が決まっていく」
高橋知事も、大会時期変更の可能性を示唆する。

昨春まで北大に勤務し、日本陸連科学委員も務める
石井好二郎・同志社大スポーツ健康科学部教授は、
「現在の開催時刻で参加者を増やすと、熱中症対策で大変なことになる」
と大会関係者に指摘。

「ホノルル・マラソンのように、早朝スタートにする方法もある。
交通規制の時間は延びるが、地域にとっての経済的、社会的なメリットを
示せれば、市民理解も広がり、陸連や警察を動かすこともできるはず

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

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