2009年4月16日木曜日

気仙両市の税金格差を探る

(東海新報 4月12日)

気仙両市の水道料金について、場合によっては陸前高田市内で、
大船渡市内の30倍も徴収されるケースが。
「3市町で、公共料金や各種税金に違いがあるのか」との答えを
探ろうと、3市町のホームページを閲覧。

その結果、固定資産税、国民健康保険税、学校給食費、保育料など、
多少料金や税額に違いがあった。
果たして、その“格差”は?

きっかけは、気仙両市でアパート経営をしている大船渡市民によるもの。
アパートが多く建てられ、空き室が目立ち、空いた部屋の水道の
休止届を市に提出したところ、
大船渡市では料金が軽減、陸前高田市では軽減されなかった。

大船渡市では、13ミリの水道管使用で基本料金(10トンまで1207円)と
下水道基本料金(同1470円)が無料、
メーター使用料の115円の徴収だけで済む。

陸前高田市では、休止届を出してもメーター使用料157円、
基本料金(5トンまで1365円)と下水道基本料金(10トンまで1890円)の
計3412円を徴収。
「気仙両市で30倍もの差がある」と指摘。

この問題について、同様のケースで高額料金が徴収されているのは、
県内13市の中で陸前高田市だけ。
中里長門市長は、「条例通り執行しているが、見直しの必要がある」
同市水道事業所は、「地理的な条件や人口密度によって、
水道建設費に違いがあり、自治体ごとに料金が違っている」
現在は、早期に料金改正ができるよう事務手続きを進めている。

住田町でも、陸前高田市と同様、仮に休止届が提出されても
料金が軽減される料金体系にはなっていない。
13ミリの水道管使用の基本料金とメーター使用料の合計630円と
下水道基本料金の1785円を合わせた、2415円が徴収。
使用料などは、各市町で条例を定めることによって独自に設定できる。

各種税金はどうか?
気仙3市町の地方税(市町)について比べた(非課税を除く)。

個人の「市町民税」だが、3市町とも税額の計算は所得に応じて負担する
所得割のほか、均等割は市町民税3000円と県民税2000円で同額。
「法人市町民税」は、法人税割額の税率が住田町12・3%、
大船渡市と陸前高田市14・7%。
均等割額の税率年額は、資本金1000万円以下で従業員50人以下の
法人だと、大船渡市と住田町は5万円、陸前高田市は6万円。
均等割額は、9段階に区分され、陸前高田市は20%ほど高い。

「固定資産税」は、課税標準額と税率を乗じたものが税額となるが、
大船渡市と陸前高田市の税率は1・5%、住田町は1・4%、
「軽自動車税」や「たばこ税」などは同額。

「国民健康保険」は、加入者が病気やケガなどをした時の
医療費に充てられるもの。
税額は、医療費に使われる医療分、後期高齢者支援金分、
介護保険の費用としての介護分の合計で、平等割(一世帯当たり)、
均等割(世帯加入者数)、所得割(世帯の所得に応じて計算)、
資産割(世帯の資産に応じて計算)がある。

21年度から、陸前高田市と住田町で値上げされた学校給食費。
両市町の給食はセンター方式をとり、小中学校の給食は一括して
給食センターが調理、運搬。

陸前高田市では、最近の食材価格の高騰に対応するため、
小学校で年額3000円値上げし、4万7000円、
中学校で2390円値上げし、5万4900円。
日数は4、5日減らして176日。

住田町は、小中学校とも6000円値上げし、小学校が5万円、
中学校が5万6000円。
日数は、前年度より8日増やして180日。

大船渡市は、三陸町内の小中学校はセンター方式で、それ以外は自校、
または共同調理場方式となり、料金と日数に多少の違いがある。
平均は、小学校が4万6714円で184・1日。
中学校は5万1625円で182・6日。

原則世帯全員の課税額の合計で算定される保育料(月額)。
3歳児の最高額は、大船渡市で所得税が5万5000円以上の
家庭は3万3600円、陸前高田市で所得税が7万1000円以上の
家庭は3万3000円、住田町で所得税が4万円以上の家庭は3万円。

税金に関しては、地方税法上適切な税額設定となっているものの、
種類によっては人口規模などによって多少の差異があり、
各種料金についても違いがあった。

本格的な地方分権社会の到来に伴い、近年は市町村が各地域の課題を
自らの考えと力で解決し、質の高い住民サービスを提供していくことが
求められているが、大きな課題となっているのが「少子高齢化」。

今後、税金を負担する人が減り、逆に保健や医療、福祉といった
行政サービスの受け手が増え、市町村の財政運営は非常に難しい。
年々収入が減り、支出は増える状態が続く見通しだけに、
暮らしやすいまちづくりに向けて、住民はこれまで以上に
税金(予算)の使われ方に関心を持つことが必要。

http://www.tohkaishimpo.com/

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