2009年7月28日火曜日

スポーツ21世紀:新しい波/311 Back Softball/4

(毎日 7月25日)

青、白、赤の3色に染められた金属バット。
北京五輪で、ソフトボール日本代表が使用したモデル。
「金メダルを獲得して『売れた』というのは、このバットぐらい。
それも1万本にも達しない程度」

日本ソフトボール協会と契約を結ぶ、
ミズノの久保田憲史マーケティング部長は、
さほど「金メダル効果」を意識してはいない様子。

次の12年ロンドン五輪で、ソフトボールは実施競技から外れる。
ミズノは、北京後も日本代表のエースとして活躍した
上野由岐子(ルネサステクノロジ)、元日本代表の宇津木妙子監督と、
立て続けにアドバイザリースタッフ契約を結んだ。
日本協会との契約も4年間更新し、支援を継続。
国際連盟や海外の有力選手とも契約。

その背景には、底堅い競技の地盤がある。
ソフトボール用品の国内シェアの4割を占めるミズノ。
市場規模は約750億円に上り、野球とともに同社の優良事業部門に
位置付けられる。
「ソフトボールとは長い付き合いがある。契約更新に迷いはなかった」と
久保田部長。

日本協会との契約は86年からで、もう20年以上も支援し続けている。
トップ選手だけでなく、中学や高校の女子の部活動、
男子も少年や社会人で競技者が多く、生涯スポーツとしても根強い人気。
それがソフトボールの強みだ。

別の動きもある。
北京後、「ペヤング」のチーム名で、
群馬県のまるか食品がチームを発足。

同社も、金メダル効果を狙ってチームを作ったわけではない。
甲府市で4日に行われた全日本総合選手権の関東予選には、
社員ら100人が応援に駆けつけた。
丸橋嘉一社長は、「このように、みんなが一緒になって応援でき、
社員の一体感を醸成できるのが魅力」

企業スポーツとしての価値を、ソフトボールに求めている。
五輪競技に復帰できれば、それに越したことはない。
関係者や競技者は、何も「五輪頼み」だけではない。
現在の地盤をどう維持し、発展させていくかも大きな課題。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

0 件のコメント: