(日経 2009-07-22)
6月末まで、景気回復の期待から反発局面が続いた
ニューヨーク原油先物相場が急落。
米国は、ドライブシーズンの真っただ中。
同国の石油需要の半分を占めるガソリンの出荷が、
最大需要期を迎えたにもかかわらず、さえない。
軽油・暖房油の在庫も、約25年ぶりの記録的な水準にまで積み上がった。
こうした弱材料が改めて意識されるようになり、
相場の下げ圧力の一因。
指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油は、
6月30日に年初来高値の1バレル73.38ドルまで上昇、
7月に下げ足を強め、一時58ドル台まで下げた。
高値からの下落率は2割強と大きい。
最大のきっかけは、米国の雇用統計の悪化や株価の急落。
米エネルギー省(DOE)が毎週発表する石油統計での
ガソリン在庫の増加が拍車をかけた。
この傾向は続き、10日時点のガソリン在庫は2億1500万バレルと
5週連続で増えている。
米国では、石油需要の約5割をガソリンが占め、
約2割の日本などと比べて格段に多い。
毎年5月下旬から9月上旬までがドライブシーズンで、
この期間のガソリン需要の動向が原油相場を大きく左右。
原油相場は、米国のガソリン需要の回復を期待して
上昇していた面も大きい。
需要がピークの7月10日時点でも、ガソリン出荷量はさえなかった。
過去4週間平均で、前年同期比0.6%増と前年をわずかに上回った程度。
ガソリン店頭価格は、過去最高値だった前年同時期に比べ
4割ほど安いが、「100年に1度」と言われる不況下で
消費者の財布のヒモは固い。
軽油など「留出油」と呼ぶ製品在庫も、約25年ぶりの
記録的な水準まで増加。
景気回復への期待感がやや後退したことで、
こうした弱材料が改めて意識され、原油相場にも下げ圧力に。
米国のガソリンシーズンも後半戦に突入したが、
市場では「需要の大幅な伸びは期待できない」との見方が支配的。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの
芥田知至・調査部主任研究員は、
「WTI原油も、最大で50ドル近辺まで下げる可能性がある」
例年8月から9月にかけて発生しやすいハリケーンによる被害や、
製油所の事故が突発的に起これば、相場は押し上げられるが、
実需面での強材料は極めて乏しい。
仏銀行大手、BNPパリバでシニアオイルアナリストを務める
ハリー・チリンギリアン氏は、「相場の調整局面は9~10月ごろまで続く」
株価の動きなどに左右される面はあるものの、
当面は軟調な値動きとなりそうだ。
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/shikyou/shi090717.html
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