2008年8月25日月曜日

高齢者の疲労は病気に直結する

(WebMD 2008年8月14日)

高齢者が極度の疲労を訴えてきたら、深刻に受け止めるべきだ、
とコロンビア大学の研究者らが研究の結果、医師に求めた。

1989~1995年まで行われた研究に、2,130人が参加。
平均年齢は74歳、参加者の20%は80歳以上。大多数が女性。
参加者はすべて65歳以上、マンハッタン150丁目の北に位置する
「ターゲット地区」の住人。
コロンビア大学のHuai Chengらは、
「ターゲット地区は貧困・犯罪・失業率が高い」。

参加者のうち、33%がアフリカ系、47%がラテン系アメリカ人、20%が白人。
参加者らは、1989年の研究開始時に評価を受け、
1995年まで18ヵ月ごとに検査を繰り返した。

◆高齢者の疲労

1)元気が出なくて、ぼんやり座っていることがありますか?
肉体的衰えを先月感じましたか?
2)最近十分な元気がでませんか?
起床時に疲れたと感じたり、1日2時間以上昼寝をすることがありますか?

研究者らは身体的、精神的健康の特徴を評価。
どのくらい医療施設を利用したかも尋ねた。

◆結果

1)エネルギー不足(エネルギー欠乏症)は、男性より女性に多い。
女性の22%がエネルギー不足、男性は12%。

2)エネルギー不足の人は、エネルギー欠乏でない人より
研究期間中に死亡する率が高い。

3)既婚者より未婚者に、エネルギー不足の人が多く(13%対21%)、しかも高齢。
エネルギー不足は、休み休みでないと数ブロックも歩けない、
以前より日常生活動作を行う能力に支障があるなど、
体調の悪さ(参加者の報告による)と身体機能の低下に直結。
関節障害、鎮痛薬の服用、尿失禁、難聴、うつ、社会的隔離にも
つながる可能性が高かった。

4)エネルギー不足の人は、救急治療室、外来診療、訪問医療サービスを含め、
激しく疲れていない人よりも病院にかかる回数が多い。

Mathew Maurerは、疲労の訴え以上に患者の話をよく聞く必要がある。
「高齢の患者が疲れていると訴えると、ほとんどの医者は
『そうでしょう、高齢ですからね』と言う。
だるい感じは、老化で予測される現象のひとつだと医者は言うが、
疲労の原因はあるはずで、それを調べる必要がある。

我々の研究が臨床医の皆さんに託すメッセージは、
エネルギー不足は高齢者に多いけれども正常な状態ではない、ということ」。
エネルギー不足は、記憶障害や転倒といった「老人症候群」の1要素。
心臓疾患、腎・肺障害、うつ、関節炎、貧血とも関連。

Barry Gurlandは、年を取るとどうなるか探ることは重要。
「エネルギー欠乏症の原因を解明することによって、
老人の治療介入範囲が広がり、高齢者が生活の質を維持できるようになる」。
『Journal of Gerontology』に発表。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=78605

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