2008年8月29日金曜日

キャンパス探訪(6)経営学 マックで身近に

(読売 8月19日)

ハンバーガー店の<経営>を、高校生に考えさせる取り組みがある。

昼食時の教室は、ハンバーガーのにおいでいっぱいになった。
専修大学経営学部が、オープンキャンパスで用意した公開講座
「高校生のための経営学実践講座」は、
「思わず入りたくなるハンバーガーショップ」を提案するのが課題。
事前に申し込んだ高校生約60人が10組に分かれ、
指導役の大学生とともに丸一日知恵を絞った。

司会者は、日本マクドナルドの社員。
昼食にハンバーガーが振る舞われ、最後の発表時には、感想を話す
生徒向けにフライドポテトのサービス券も用意されたが、あくまでおまけ。
大学側の企画の狙いは、「高校生にもっと経営学を知ってほしいから」。
講座の進め方は、事前に社員と大学で念入りに詰めている。

「経営学は、高校の授業で触れられることもほとんどなく、
高校生に身近ではない。
高校の先生も、進路指導で経済学部と経営学部を区別していない」。
企画の責任者、福原康司准教授(37)が、経営学を取り巻く事情を説明。

この講座が始まったのは2年前。
広石忠司学部長と、専修大の卒業生でもあるマクドナルド社の社員が
知り合ったのがきっかけで、大学側は「高校生にも、身近な会社を対象に
経営学を考えさせてみよう」と考えた。

しかし、オープンキャンパスと日程が別だった初回の参加者は10人足らず。
「特定企業が絡んだ授業に、生徒を派遣させるのはちょっと……」と
戸惑う高校も少なくなかった。
首都圏の高校に熱心に説明して回った結果が今回だけに、
1、2年目の責任者だった馬場杉夫教授(42)も
「ようやく認知されたという思いだ」。

オープンキャンパス参加者の高校生らが顔をのぞかせる中、
講座は午後から、チームごとの発表になった。
「カラオケが歌える個室があるといい」、
「食べ放題や、もっと小さなサイズのハンバーガーがあるといい」、
「高校生専用のカードを作ってはどうか」と
利用頻度の高い高校生ならではの提案が続いた。

最後に、福原准教授が、「ビジネスの基本はウィン・ウィン(互いに得をすること)。
提案の中でも、高校生だけでなく、マックの側もこれはいいと思える提案が大切」
とミニ講義。優秀なチームを、大学とマクドナルド社双方で選んで表彰。

千葉県立八千代高校から生徒を引率した吉野純一教諭(45)は、
高校生を話し合わせる技に感心した様子。
「何かを企画することに興味がある」と話していた高校2年の金子あんずさんは、
「経営学部がより身近になりました」。

高校生に、大学が学問の面白さを伝える取り組みは、
ひと昔前とは比較にならないほど重要。
オープンキャンパスにこそ、そんな企画がもっとあっていい。

◆高校の経済学習と経営学

現行の学習指導要領によると、高校の公民の科目「現代社会」には、
「現代の経済社会と経済活動の在り方」の項がある。
「政治・経済」では「現代の経済」の項で、
「経済社会の変容と現代経済の仕組み」や「国民経済と国際経済」を学ぶ。
それぞれ企業の働きや役割にも触れることになっているが、
経営学に直結するような項目はない。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080819-OYT8T00228.htm

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