2010年7月16日金曜日

ゲノムコホート研究が来年度科学・技術重要施策に

(サイエンスポータル 2010年7月9日)

総合科学技術会議は、来年度の科学・技術重要施策を定めた
アクション・プランを公表。

新成長戦略の柱に決まっているグリーン・イノベーション、
ライフ・イノベーションを推進するための8つの重点方策が掲げられ、
「ゲノムコホート研究と医療情報の統合による予防法の開発」
盛り込まれた。

2020年を目標に、ゲノムコホート研究で得られる疫学情報と
電子化された医療情報の統合により、治癒困難な疾患に関する
原因因子の解明を目指す。
大人数を対象に、長期にわたる追跡調査を必要とする
大規模コホート研究は日本でこれまで例がない。

推進方針によると、ゲノムコホート研究は10万人の対象者を追跡調査し、
疾患・死因などの情報を集約。
併せて生体試料を収集、保管、管理するシステムをつくる。
これら生体試料の解析を行い、ゲノム情報を含む生体情報を収集、
データベース化する。
電子医療情報とゲノムコホート研究の成果である生体情報を統合し、
疾患原因因子の疫学的解明を行う。
東南アジアを中心とする国際連携によって、
コホート研究の母集団拡大も目指す、としている。

大規模コホート研究は、海外では珍しくなく、特に英国が力を入れている。
母親の胎内にいたときの状態が、成人になってから
いろいろな影響として現れることを明確にしたコホート研究が特に有名で、
これは1958年にスタートした大規模追跡調査。

DNAを調べ、遺伝的な要因も見ようというコホート研究は
最近、海外でも始まっている。
日本では、科学技術振興機構社会技術研究開発センターの
研究プロジェクト「脳科学と教育」(2001~09年度、研究総括・
小泉英明日立製作所役員待遇フェロー)の中で、幼児を対象にした
複数のコホート研究が実施。

それぞれ貴重な成果が得られたが、さらに確かな成果が期待される
大規模コホート研究への移行は見送られた経緯。
アクション・プランは、2020 年を見据えた政府全体の
科学・技術政策の行動計画。

8月末に各省が出した概算要求について、総合科学技術会議が
評価するという従来の予算編成のやり方を改め、
概算要求前に全体の戦略を示すことで、総合科学技術会議が
「司令塔」機能を発揮できるようにすることを狙っている。

「ゲノムコホート研究と医療情報の統合による予防法の開発」以外の
アクション・プランに盛り込まれた7つの重点方策は以下の通り。

◆グリーン・イノベーション関連

「太陽光発電による再生可能エネルギーへの転換の促進」
「バイオマスによる再生可能エネルギーへの転換の促進」
「次世代自動車の普及による交通運輸分野の低炭素化」
「情報通信技術の活用による低炭素化」
「豊かな緑環境・自然循環の形成」

◆ライフ・イノベーション関連

「早期診断・治療を可能とする技術、医薬品、機器の開発」
「高齢者・障がい者の生活支援技術の開発」


http://www.scienceportal.jp/news/daily/1007/1007091.html

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