(サイエンスポータル 2010年7月9日)
総合科学技術会議は、来年度の科学・技術重要施策を定めた
アクション・プランを公表。
新成長戦略の柱に決まっているグリーン・イノベーション、
ライフ・イノベーションを推進するための8つの重点方策が掲げられ、
「ゲノムコホート研究と医療情報の統合による予防法の開発」が
盛り込まれた。
2020年を目標に、ゲノムコホート研究で得られる疫学情報と
電子化された医療情報の統合により、治癒困難な疾患に関する
原因因子の解明を目指す。
大人数を対象に、長期にわたる追跡調査を必要とする
大規模コホート研究は日本でこれまで例がない。
推進方針によると、ゲノムコホート研究は10万人の対象者を追跡調査し、
疾患・死因などの情報を集約。
併せて生体試料を収集、保管、管理するシステムをつくる。
これら生体試料の解析を行い、ゲノム情報を含む生体情報を収集、
データベース化する。
電子医療情報とゲノムコホート研究の成果である生体情報を統合し、
疾患原因因子の疫学的解明を行う。
東南アジアを中心とする国際連携によって、
コホート研究の母集団拡大も目指す、としている。
大規模コホート研究は、海外では珍しくなく、特に英国が力を入れている。
母親の胎内にいたときの状態が、成人になってから
いろいろな影響として現れることを明確にしたコホート研究が特に有名で、
これは1958年にスタートした大規模追跡調査。
DNAを調べ、遺伝的な要因も見ようというコホート研究は
最近、海外でも始まっている。
日本では、科学技術振興機構社会技術研究開発センターの
研究プロジェクト「脳科学と教育」(2001~09年度、研究総括・
小泉英明日立製作所役員待遇フェロー)の中で、幼児を対象にした
複数のコホート研究が実施。
それぞれ貴重な成果が得られたが、さらに確かな成果が期待される
大規模コホート研究への移行は見送られた経緯。
アクション・プランは、2020 年を見据えた政府全体の
科学・技術政策の行動計画。
8月末に各省が出した概算要求について、総合科学技術会議が
評価するという従来の予算編成のやり方を改め、
概算要求前に全体の戦略を示すことで、総合科学技術会議が
「司令塔」機能を発揮できるようにすることを狙っている。
「ゲノムコホート研究と医療情報の統合による予防法の開発」以外の
アクション・プランに盛り込まれた7つの重点方策は以下の通り。
◆グリーン・イノベーション関連
「太陽光発電による再生可能エネルギーへの転換の促進」
「バイオマスによる再生可能エネルギーへの転換の促進」
「次世代自動車の普及による交通運輸分野の低炭素化」
「情報通信技術の活用による低炭素化」
「豊かな緑環境・自然循環の形成」
◆ライフ・イノベーション関連
「早期診断・治療を可能とする技術、医薬品、機器の開発」
「高齢者・障がい者の生活支援技術の開発」
http://www.scienceportal.jp/news/daily/1007/1007091.html
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