(サイエンスポータル 2010年7月5日)
スカンポの名でも知られる多年草植物イタドリなどを
燃料に加工、ビニールハウスの暖房に利用する実証実験を、
近畿大学の研究チームが北海道下川町で行い、
CO2削減に効果があることを確かめた。
井田民男・近畿大学理工学部准教授らは、
飲料工場から大量に排出、廃棄される茶かすをはじめ、
ほぼすべての植物由来バイオマスから、石炭コークスの
代わりとなる固形燃料「バイオコークス」をつくる技術を開発。
北海道下川町に自生するイタドリなどの植物を
バイオコークスに加工、地元農家の協力を得て、
昨年末から今年春にかけて4カ月間、トマト栽培の暖房用燃料に
使用する実証実験を行った。
消費したバイオコークスは約10トン、
灯油、重油を使用した場合に比べると、CO2排出を約6トン削減。
近畿大学は、2008年、北海道恵庭市に
「近畿大学バイオコークス量産実証実験センター」を開設、
実証実験に使うバイオコークスの製造を開始した。
同年、豊田自動織機の東知多工場で、自動車エンジン部品を
製造するキュポラ炉で実証実験を行い、バイオコークスが
石炭コークスの11.4%を代替できることを確認。
ことし4月、ナニワ炉機研究所と共同で、1日あたり約1トンの
製造能力を持つ商用タイプ製造装置を開発。
今回の実証実験では、イタドリという地元に自生する
草本バイオマスだけでなく、木くずやジュースのしぼりかす、
もみガラなどから製造したバイオコークスも用い、
いずれもハウス栽培の暖房用燃料として使用可能であることを実証。
井田准教授は、「バイオコークスによる低炭素農業・CO2循環型農業が
今後、拡大していく可能性を示した」
北海道下川町は、バイオマスタウン構想を掲げ、
道内の環境モデル都市。
循環型森林経営を長年実践し、03年北海道初の
FSC(森林管理協議会=本部ドイツ)森林認証を取得。
同年、道内39市町村が参加して発足した
「森林吸収源を活用した地域経営に関する政策研究会」の
事務局も務めている。
http://www.scienceportal.jp/news/daily/1007/1007051.html
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