2010年7月12日月曜日

子どもと図書館(7)読ませたい本 冊子で紹介

(読売 7月3日)

「その本、面白そう!」
兵庫県西宮市立夙川小学校の図書室で行われた
2年の国語の時間。

司書教諭の福原優子さんが、中国のむかし話の絵本など、
様々な本を次々と手にとって紹介すると、
児童33人の目はくぎ付けに。

終了後、真岩凛太郎君(7)が真っ先に手を伸ばしたのは、
ヘビの生態を学べる『ヘビのひみつ』(ポプラ社)。
エサの丸のみで、体の一部が丸く膨らんだ写真に強い興味を持った
様子で、「これ、すごいよ。早く借りたい」と目を輝かせた。

この日、紹介された本は計15冊。
いずれも同市が毎年作っている新刊案内
「読んでごらん おもしろいよ」の2010年版に掲載されている本。
新刊案内は、A5判16ページの小冊子、
前年に出版された本から、幼児・小中学生向けに選んだ
75冊の短い紹介文を載せている。

紹介する本を選ぶのは、市内の幼小中学校の司書教諭ら
25人の選定委員。
1年かけて150冊以上の本を読み込み、年に10回近く集まって議論。
ジャンルは、絵本や国内外の文学、自然科学、歴史など幅広いが、
「推薦する基準は、人気があるかではなく、読ませたいかどうか」、
委員の一人でもある福原さんは説明。

こうしてできた新刊案内は毎年7月、子どもたちに配布。
それに合わせて各学校の図書室に専用コーナーが設けられ、
休み時間は子どもたちでごった返す。

新刊案内作りに重要な役割を果たすのが、同市立中央図書館。
候補になる500冊以上の本は、同図書館で購入し、
これを委員が回し読みする。
同図書館司書で選定委員の小西博子さん(51)は、
「学校だけで、何百冊もの本はそろえられないし、
中央図書館の職員だけで良書を選ぶのも難しい。
協力関係は欠かせない」

推薦本は、同図書館にもそろえられる。
学校の図書室の「在庫」が切れると、子どもたちの足は
自然と図書館にも伸びる。

あまたある本の中から、子どもたちにとって良質なものを選ぶ
手助けは、大人の責任。
創刊1966年、最新版は通算45号という歴史のある
新刊紹介の取り組みは、国民読書年の今年、改めて注目、
全国から問い合わせが相次いでいる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100703-OYT8T00309.htm

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