(読売 7月2日)
石川県小松市立図書館。
市内の小学5年生、本田峻一君(10)が、祖母の運転する車で
自宅から約15分かけて来た。
「1年生のとき、学校に面白い本があって、
それから本を読むようになった」
館内では、本田君のように読書に熱中する子どもたちの姿が、
大人よりも多く目立つ。
小松市では、子どもの読書推進運動が、市全体で展開。
市立全35の小学校と中学校の図書館に、
貸し出しや本の取り寄せなどを担う学校司書を置いているのは
もちろんのこと、市民が主体となった活動も盛ん。
その代表例が、市民グループ「おはなし宅配便」。
活動の主体は、母親や元教師ら10人前後。
お薦めの児童書30~40冊を、小中学校に持って行き、
2週間限定で貸し出し。
授業時間を借りて、これらの推薦図書の読み聞かせなどを行い、
読書の魅力も伝えている。
「本の素晴らしさを、肌で感じてもらいたい」、
この活動を16年前に始めた代表の竹内のり子さん(50)。
児童からの感想には、「本の取り合いです」、
「どんな本が来るのか楽しみ」などとあり、評判は上々。
きっかけは、子育てサークル。
母親同士で絵本の良さを語り合ううちに、
読書教育の必要性を感じる。
当時、学校図書館の本と言えば、長年書架に眠ったままの
物も多かった。
子どもが一から、いい本を選ぶのも難しい。
「だったら、私たちが出向いて、本のすごさを伝えようと提案した」、
竹内さんは振り返る。
グループで所蔵するのは、4000冊近く。
メンバーで話し合って子どもに読ませたい本を選び、
市立図書館に購入してもらう。
1年を通して、市内のほとんどの小中学校を訪れる。
交通費などはすべて自前で、本の運搬には、
メンバーの自家用車を使う。
竹内さんは市内の書店をいくつか回り、ある変化に気づいた。
「以前は、本屋さんに児童向けの本があまり置かれていなかったが、
宅配便で紹介した本を、子どもが書店で注文するようになり、
店頭の児童書が充実してきた」
小松市は今年、優れた読書感想文を書いた小中学生を
表彰するなどして、読書習慣が身に着くようさらに後押し。
市立図書館の島田裕美子館長(58)は、
「市民の熱意もあり、子どもが読書に親しめる環境が
市全体で広がりつつある」と手応えを感じている。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100702-OYT8T00239.htm
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