2010年4月4日日曜日

変わる校舎(6)小空間 学ぶ意欲刺激

(読売 3月24日)

小空間を使って、少人数教育を実践する。

「冬はつとめて。雪の降りたるは、いふべきにもあらず」
雪化粧した平屋の校舎に、「枕草子」を音読する
子どもたちの声が響く。
群馬県太田市にある小中高一貫の私立ぐんま国際アカデミー
(高校は来年開設)、1年生の1Aの児童17人が国語の授業。
1Aの人数は36人。
残りの半数は、玄関を隔てた隣の教室で、英語劇の練習中。

英語イマージョン(言葉漬け)教育を掲げ、国語、社会など
一部を除いて、英語で授業を行う同校は、少人数授業が多い。
小1では、国語、英語、音楽でクラスを二分、
1Aの場合、週30時間のうち18時間が、こうした少人数での授業。
時間割も1Aa、1Abと二つに分かれている。

いきなり英語漬けになる新入生の戸惑いは大きい。
クラスの分割について、井上春樹副校長は(65)は、
「教師の目が届きやすいし、子どもも質問しやすい」

2005年4月に開校した同校は、大小様々な教室が組み合わさった
先進的な校舎。
国語の授業が行われていた、「クラスベース(CB)」と呼ばれる小空間。
通常の教室の半分ほどの広さで、廊下との間に壁はない。
各クラスとも、授業で使うCBが決まっている。
校舎内には4、5人が入るのに適した、さらに小さな空間も。

計画段階で助言した千葉大学の柳沢要准教授(建築計画)は
こうした形態は、欧米では少なくない、
「クラスルームを解体すれば、教育が柔軟になる。
様々な教え方に接し、子どもも多様性を学んでいく」

統合により、2006年に開校した山口県下関市立豊北中学校は、
教室のそばに、少人数用授業の「ゼミ室」を持つ。
英語では、英語教室の向かいにあるゼミ室を活用、
2、3年は7割程度で、「スタンダード」、「チャレンジ」に分かれて授業。

2月末にあった「チャレンジ」の授業。
英単語のおさらいなど、基礎が中心。
ゼミ室で、山根秀秋教諭(27)が11人の生徒に大きな単語カードを見せ、
「enterってどういう意味やったっけ」と質問、
女子生徒2人から勢いよく手が挙がった。
生徒たちは、「この人数だと周りが気にならないし、授業が楽しい」と
雰囲気が明るい。

数学教室の前は、廊下が幅広に作られ、ホワイトボードやイスが並ぶ。
問題演習で、「解けない人は廊下に出て」と教師が呼びかけ、
解き方を丁寧に教えるなど、廊下も状況に応じて教室に。

1993年度、教員の追加配置で始まった少人数授業は現在、
多くの学校で行われている。
空き部屋を使うことが多いが、「狭かったり、教室から遠く移動に
手間がかかったりする」(関東地方の教育委員会)ケースも。

少人数教育を織り込み、高い機能を持つ校舎が、
子どもの個性を伸ばし、学ぶ意欲を向上させている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100324-OYT8T00302.htm

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