2010年4月7日水曜日

インドネシア人女性奮闘 看護師目指し、慶大も支援

(2010年3月30日 共同通信社)

「髪洗いますね」、「大丈夫ですか」。
済生会横浜市東部病院の集中治療室(ICU)。

日本での看護師資格の取得を目指すインドネシア人女性2人が、
患者と向き合いながら研修に励んでいる。
言葉や生活の違いに戸惑いながら奮闘する姿を、
慶応大も後押ししている。

ジェリアナ・パルデデさん(32)、インダ・アグスティナさん(29)。
母国では、「優秀な看護師」(東部病院関係者)で、
現地でそれぞれ別の大きな病院で勤務。
2人は、「日本語は難しいけど、仕事はインドネシアと同じ。
私たちは注射も上手なんです」と自信。

2008年、日本が看護師候補生らを受け入れている
日本・インドネシア経済連携協定(EPA)の制度で、
2人は昨年11月に来日。
語学研修の後、1月から病院で働き始めた。
「日本で最先端の医療を学びたい」と意欲を燃やしている。

夫と幼い2人の息子を母国に残すインダさんは、
「国家試験に合格したら、家族が来日し、日本で暮らすつもり」
独身のジェリアナさんも、「ずっと日本で働きたい」。

課題は、日本語の壁。
外国人の看護師候補生は、国家資格を3年以内に取得しないと、
帰国しなければならないと規定。
ジェリアナさんは、「漢字が難しい。専門用語は全然分からない」

勤務中も、カルテを読むため、辞書が手放せない。
2人は、2月の国家試験に初挑戦したが、及ばなかった。
「初めての試験は経験を積むため」と周囲に話している。

そんな2人を支援しようと、慶応大が立ち上がった。
看護医療学部の学生が、この病院で実習している縁がある。

慶応大の杉本なおみ看護医療学部教授
(異文化コミュニケーション学)は、「外国人研修生を受け入れてきた
ほかの病院で、準備不足でトラブルがあったと聞き、支援を決意した」

2人の配属前に、東部病院で全職員を対象にした研修会を開き、
イスラム教徒のインダさんへの配慮の仕方を指導。
病院が、祈りのスペースを確保。
インダさんは、「お祈りも食事も大丈夫」と喜ぶ。

インドネシア語を学ぶ慶大の学生との交流会も、定期的に実施。
ジェリアナさんは、「久しぶりにインドネシア語が話せてうれしい」
と目を輝かせた。
看護師資格の勉強を、慶大の看護医療学部の学生と
一緒にする機会も設ける。

済生会横浜市東部病院ICUの石井早苗看護師長補佐は、
「文化も言葉も違い、ストレスを感じていると思う」と気遣う。
「実践的な能力は高い。合格できるように助けたい」

※経済連携協定(EPA)

貿易拡大などを目的に、2国間や複数国間で結ぶ協定。
介護職や看護職の人材不足などを背景に、
外国人の受け入れを求める声が強まり、
日本はインドネシア、フィリピン両国と協定を結んで
介護福祉士、看護師候補者を受け入れた。
インドネシアからの看護師候補生は、2008年8月に第1陣の
約100人が、09年11月に第2陣の約170人が来日。
今年2月実施の10年度の看護師国家試験で合格したのは、
インドネシア人2人とフィリピン人1人だけ。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/30/118210/

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