2010年4月8日木曜日

鉱山史の研究に貢献 池享教授(一橋大学)が報告書

(東海新報 4月5日)

文部科学省科学研究費補助事業による
「中近世移行期における鉱山開発と地域社会の変容に関する研究」
の報告書が、池享一橋大学大学院教授らによって発刊。

未解明な部分が多い中近世移行期(16~17世紀)における
鉱山史研究の基礎条件整備に大きく貢献、
これまであまり注目されてこなかった「土金(つちがね)」採取に
ついても、気仙産金の調査などをもとに、
さまざまな視点から課題提起。

報告書は、文科省による大学共同研究事業の一環、
平成18年度から3カ年事業で実施。
未解明な部分が多い中近世移行期において、
全国的に進められた鉱山開発が、地域社会とどのような
かかわりを持ち、地域社会のあり方にどのような影響を与えたのか、
追求することを課題。

調査メンバーは、代表の池教授はじめ、平川新東北大学教授、
柳原敏明東北大学准教授、七海雅人東北学院大学准教授ら7人。
気仙では、案内役として産金遺跡研究会(平山憲治代表)の
会員らが協力。

今回の調査では、東磐井や気仙地方を中心とする金山を
フィールドに設定、鉱山開発が地域社会にどのような影響を及ぼし、
歴史的展開を作り出したかを解明。
気仙に残る古文書や一関市東山町の鈴木家文書、
同市室根町の畠山文書などを繙いた。

御本判(仙台藩が金掘り従事者に発行した許可証)大肝入を
務めた鈴木家と、村肝入を務めた畠山家の両家文書の
目録作成と史料翻刻を行い、御本判制度の解明に迫った。

これまであまり注目されてこなかった「土金」に関して、
気仙地方などで情報収集した成果をまとめた。

土金とは、地層の土砂中に混じっている金粒で、
露天掘りや土坑堀りで採取。
報告書には、「その作業には、大量の土掘り・運搬や水路・
選鉱場造成のため、通常の砂金取りよりも
大規模な労働力編成が必要、これと名子などの
従属労働力の編成とは密接にかかわっていたと思われる」

報告書の中で、池教授は、「御本判制度とその運用については
未解明な点が多く存在する。
農業と一体となった小規模経営、労働編成についても、
『土金』採取も視野に入れた検討が必要。
採金から製鉄、林業、炭焼きなどへの生業の転換問題、
そこで重要性を増したと思われる山利用をめぐる問題、
人の移動などの問題解明に向けた展望が開けた」

調査に協力した産金遺跡研究会の平山代表は、
「本県の産金に関する調査研究を大学で取り組んだということは
今までになかった画期的なこと。
報告書の成果は、今後の研究や課題に取り組む指針になる」

報告書は、A4判の大きさで全559㌻。
産金遺跡研究会の会員、野村節三氏が
「岩手県気仙地方産金遺跡概要~産金遺跡研究会による調査・研究~」
と題して寄稿。

http://www.tohkaishimpo.com/

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