(日経 2010-03-16)
サッカー・Jリーグが開幕。
今やJ1、J2合わせ、37のプロクラブが「地域密着」を掲げて
サッカーの街づくりに取り組む。
「リーグ有数の環境」とされるのが、千葉市のスポーツ公園に
拠点を移したジェフユナイテッド市原・千葉。
・2009年、フクダ電子アリーナの総入場者は約25万人。
1試合平均約1万4700人、08年より微増。
・ホームタウンの一角を占めるサッカー・フットサルコート
「フクダ電子スクエア」の月間利用者は約7000人。
・オフィシャルショップで扱うグッズは約600種類。
人気ベスト3は、レプリカゲームシャツ、背番号タオルマフラー、
アクリルユニホームストラップ。
昨秋に完成した新クラブハウス「ユナイテッドパーク」の自慢は、
2面のグラウンド。
冬場でも鮮やかな緑の天然芝を備え、
練習日には500席のスタンドが埋まる。
サポーターゾーンとして、ピッチを見下ろす2階バルコニーを開放。
子どもが見られるよう、柵の一部はガラス張り。
チームのマスコット、秋田犬の兄弟ジェフィとユニティの
すかし絵を探すのも一興。
選手食堂のガラスには、ホームスタジアム「フクダ電子アリーナ」を
デザインした全長5mのすかし絵がある。
サポーターならずとも見てみたいが、関係者以外は入れない。
練習見学ついでに、1階のオフィシャルショップをのぞいた。
建物の外観と同じ紺色の床と、チームカラーの黄色が踊る
多彩なグッズのコントラストが映える。
2畳程度だった姉崎(市原市)のクラブハウス時代を知る
サポーターにすれば、納得の品ぞろえ。
売り上げは、7割近く増えた。
フクダ電子アリーナ(約1万8500席)は、5年前に誕生。
臨場感あふれる試合を堪能でき、グッドデザイン賞に輝く
専用球技場は、グルメスタジアムでも。
市原市のインド・スリランカ料理店「サマナラ」のカレーは、
「大きなナンが美味」との評判。
ドライタマネギを隠し味に、鉄板でいためた牛肉やソーセージと
たっぷりのキャベツを一緒に包んだ米国仕込みの
「テキサス」のタコス、「喜作」のソーセージ盛り……。
1000円でお釣りがくる満腹メニュー。
場外北側の奥まった場所で、「福有神社」の札がかかった
チームのロゴ入りの黄色い鳥居を発見。
命名権を持つフクダ電子の特注品で、高さ2mの塩化ビニール製。
「み霊も入れておらず、あくまでシャレ」というが、
勝負事で吉相の東南を向き、供え物の酒や米、水、塩は
すべて千葉県産というこだわり。
J2に降格し、J1復帰を目指す今年は、願掛けが増えるかも。
◆取材を終えて
首都圏のあるチームのサポーターとして、
ゴール裏に陣取る筆者にとって、フクダ電子アリーナ(フクアリ)は
大好きなスタジアムの1つ。
開場の2時間前には到着し、年に一度のグルメも堪能。
スタジアムと練習場の近さは、特筆もの。
2月下旬、「ちばぎんカップ」の午前、1千人を超すサポーターが
練習を見守った後、通りをはさんだ会場のフクアリに移動する
光景はうらやましい限り。
プロ野球をしのごうかというJ人気は、遠い昔の話。
「チームが強ければ、客が入る」の単純な方程式も通用しない。
ユナイテッドパークの完成時、クラブの三木博計社長は、
「地域の公民館を目指す」、ソバ打ち教室や英会話教室、
書道に生け花教室、フクアリの試合当日の朝市といった
アイデアを披露。
現実味を帯びた話に発展していない。
J2降格で、それどころでないのかもしれないが、
素晴らしい環境を地域密着に活用しなければ、宝の持ち腐れ。
クラブの素顔が見えれば、もっと愛着をもたれるはず。
わが愛するチームの経営を棚に上げて忍びないのだが。
http://netplus.nikkei.co.jp/nikkei/news/expedition/expedition/exp100316.html
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