2008年5月15日木曜日

寝息毎分21回 冬眠中クマ、寝たまま調査

(朝日 2008年05月09日)

石川県白山自然保護センター(白山市上野町)は、
冬眠中のツキノワグマの心拍数や呼吸数などの調査に成功。
自然の山中で冬眠しているクマのデータ採取は、全国的にも珍しい。

全地球測位システム(GPS)付きの首輪が外れなかったことなど、
偶然が重なった結果で、「幸運にも貴重なデータが得られた」。

同センターでは、00年度からツキノワグマの行動域や活動量などの
調査を始め、06年、ドラム缶式のオリで捕獲したメスのクマ(当時10歳)に
初めてGPSの発信機を首に付けて追跡調査。

ところが、首輪が自動で外れるための時限落下装置が機能せず、
予定の1年が過ぎても首輪は外れなかった。
発信機の電波が微弱ながら残っていたので、
クマのおよその冬眠位置を把握し、今年3月上旬に周囲を探したところ、
雪に埋まった冬眠穴の一部を見つけた。

吹き矢でクマに麻酔をかけて、血液などを採取し、GPSも回収。
心拍数は1分間に45回、呼吸数は同21回。

上馬康生・同センター主任研究員は、
「たまたま首輪が外れず、発信機の電波が残っており、穴も発見できた。
偶然が重なった結果」。

GPSで得られた時期ごとの位置情報や活動量から、
クマの行動様式を分析し、山中や里山での接触被害対策などに役立てる方針。
今回調べたクマには新たなGPS付きの首輪を付けており、
今後も調査を続ける。

◆クマの生態に詳しい北海道大学の坪田敏男教授の話

冬眠中のクマの生理メカニズムは研究が進んでいない。
麻酔を使用した上でのデータであることと、
採取が一度きりだったのは残念だが、今後の研究のとっかかりに。

http://www.asahi.com/science/update/0508/OSK200805080004.html

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