2008年5月13日火曜日

「大動脈」確かな効果 釜石・仙人峠道路開通1年

(岩手日報 5月9日)

釜石市と遠野市を結ぶ国道283号仙人峠道路(18・4キロ)は、
2007年3月の開通から1年余りが経過。
07年に釜石市を訪れた観光客は、7年ぶりに100万人を突破、
近隣の観光地も数字を伸ばした。物流の安定にも貢献。

長年の悲願だった「大動脈」は、停滞感のあった地域経済に
確かな効果をもたらしている。
一方、内陸との往来が容易になり、消費者流出の動きも。
道路効果を一過性に終わらせない取り組みが求められる。

07年の釜石市への観光客入り込み数は、
前年比18%増の110万5000人。
100万人の大台は2000年以来。
しかし、宿泊客は5000人減。
交流人口は増えたが、ほとんどが日帰り客という実態。

07年は、近代製鉄発祥150周年などの節目が重なり、
例年にない多彩なイベントが展開。
今年はその「反動」を懸念する声も。

市観光交流課の金子健一課長は、
「団塊世代や高齢者など、ターゲットを絞った戦略を展開したい。
例えば市の観光船はバリアフリーが進んでいるのに、
あまり知られていない。PRし売り込みたい」。

近隣の観光地は、住田町の滝観洞インターチェンジが開通した
08年3月後半だけで、1200人が来場。
「現在も旅行会社から問い合わせがひっきりなしだ」(住田観光開発)。

物流は、飛躍的にスムーズになった。
07年の釜石港からの自動車積出台数は、
約1万5600台(前年比13%増)。
関東自動車工業岩手工場(金ケ崎町)の完成自動車を運ぶ
トヨタ輸送釜石営業所の台隆明副所長は、
「毎年必ずある冬の通行止めが、一度もなかった。負担は激減」。

一方、便利になった道路は消費者の地元離れを促す側面も。
市商店街振興組合協議会の小田島圭司会長は、
「人が盛岡や花巻などに流れている。
昔からその傾向があったが、より強まった」。

野田武則釜石市長は、「地元への経済効果はまだまだ。
地域の資源を一つ一つアピールし直し、他地域と競えるように取り組みたい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080509_16

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