2009年9月26日土曜日

東京五輪:招致の底流/下 リオ浮上に危機感

(毎日 9月19日)

2日に公表されたIOCの16年夏季五輪立候補都市に対する
評価報告書で、リオデジャネイロ(ブラジル)が
「very high quality(非常に質が高い)」と評価され、
東京の招致関係者が色めきたった。
「IOC上層部の政治力が働いたとしたら、まずいね」

リオは、昨年6月のIOC1次選考の段階では、
東京、マドリード、シカゴを含めた4都市で総合評価が最も低かった。
特に治安、インフラ(社会基盤)、宿泊施設が懸念材料と判断。
リオの評価の背景について、「ロゲ会長が自身の功績として、
南米大陸初の五輪を開きたいという意向があるのではないか」

南米とアフリカでは、五輪開催がない。
同じ五輪未開催の共感から、アフリカ票がリオに回る可能性も。
アフリカの「五輪空白地」に対する共感の例として、
08年夏季五輪招致でアフリカを訪問した
山本次生・大阪招致委員会国際競技部長(当時)は、
「中国で1回ぐらいやらせてあげたい。そうは思わないか」

IOC委員106人の地域別内訳は、欧州47、アジア22、
アメリカ18人、アフリカ15、オセアニア4。
リオは、アメリカ大陸の票をシカゴと分け合うが、
フランスのサルコジ大統領が支持を表明するなど、
大票田の欧州票もある程度集めそうな勢い。
立候補都市がなく、勝負の分岐点とされるアフリカ票が流れれば、
他都市にとって脅威。

JOC幹部も、今月に入って、リオのおひざ元である中南米を行脚し
切り崩しを図ったが、福田富昭副会長は、
「ブラジルが上に来ている感じだ」と危機感。

リオの懸念材料が解消されているわけではない。
東京は、アジア初の五輪となった64年大会当時のような
絶対的なアピール度がない半面、財政基盤や計画自体への
信頼感は、IOC委員の間で依然として高い。

原田宗彦・早大スポーツ科学学術院教授は、
「2回目となる東京五輪は、世界にとってどんな意味があるのか、
という視点が大切だ」

世界に戦後の復興をアピールした東京五輪から52年。
次は、世界に何をもたらすことができるかが、問われている。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2009/09/19/20090919ddm035050015000c.html

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