2009年9月24日木曜日

特集 地域医療を考える がん征圧へ早期発見 健診は年1回、積極的に

(2009年9月17日 毎日新聞社)

9月は、がん征圧月間。
がん患者は、右肩上がりで年々増えている。
がん征圧には、健診による早期発見が大切。

受診率は20~25%にすぎず、大腸がんの場合、
「精密検査の必要あり」の半数しか、精密検査を受けていない。
県総合保健協会中央健診センター(高知市)の
平井学・副センター長(49)は、
「健診で自分の健康を知ってください」と受診を呼び掛け。

--どのような種類の検査があるか?

◆医師による診察や触診、問診のほか、
検査機器(超音波機器、放射線機器など)を用いたもの、
生体試料(尿、血液、たん、便など)。

--がん健診の種類について。

◆健診では、比較的発生頻度が高く、早期に発見した場合、
治療効果や延命効果の高いものが中心。
市町村の一部ないし全額補助で行われているのは、
肺、胃、乳腺、子宮頸部、大腸、前立腺の六つの部位。
肺は胸部X線撮影、胃はX線透視撮影(または内視鏡検査)、
乳腺は触診とX線撮影「マンモグラフィー」、子宮は細胞診、
大腸は便潜血反応、前立腺はPSA(血液検査)--を行う。

--受診者数と受診率は?

◆受診者は昨年度の場合、肺がんの14万9209人が最も多く、
胃がん、大腸がんがそれぞれ6万人台。
受診率は20~25%に過ぎず、高知県の場合はさらに低い。
市町村の財政事情などで温度差が。
国は、今後5年間で50%に引き上げることを目標。

それ以上に問題なのは、1次検査で「精密検査の必要あり」と
診断された人の多くが精密検査を受けていない。
受診者の意識が高い乳腺の場合、90%以上の人が受けるが、
大腸の場合は55%。
大腸がん検診の精密検査である内視鏡検査の結果、
4・5%の人に大腸がんが見つかる。
精密検査を受けていない人に、がんの人が含まれている。
精密検査を100%実施することが、
1次検査の受診率以上に重要。

--精密検査を受けない理由は?

◆山間部など地域によっては、近くに精密検査ができる
医療機関がない場合。
専門医自体の数が少ないことも。
「もう1回、1次検査を受けさせて」という人がいるなど、
怖いという心理的な問題も大きい。

--精密検査を100%にするために、どんな策を講じるか?

◆精密検査を受けた人のうち、どれぐらいの人に
がんが見つかったかという具体的なデータを示し、
電話やはがきで受診を促すことが重要。
市町村レベルでは、保健師が受診したかどうか
個別に追跡し確認することも行う。

大腸の場合、半数の人でポリープが見つかる。
将来がん化しやすいため、見つかったら切除して
不安の芽を摘むことが大切。

--検査はどれくらいの頻度で受ければよいか?

部位によって、がんの進行は異なり、1年に1回が目安。
前立腺や乳腺・子宮は、国の基準では2年に1回。
大腸や前立腺は、年齢が高い人に多く、50歳からの検査を勧める。
がんを患った家族がいる場合、いつもと体調が違う時は、
医師と相談して積極的に検査を受けるべき。

--検査の費用について。

◆胃(間接撮影)=4513円、子宮頸=3024円、
乳腺(視・触診)1330円、乳房マンモグラフィー一方向2100円、
同二方向3150円、大腸(2日法)1614円、
前立腺(PSA検査)2310円--。

市町村で一部または全額補助が受けられるので、
詳しくは各市町村に聞いてください。

--六つの部位以外のがん健診について。

腎や肝臓、胆のう、すい臓については、腹部超音波検査。
がん検診として検査が行われていない臓器のがんでも、
診察時に甲状腺皮膚、頚部リンパ節腫脹(転移性がん、血液疾患)
などの所見から悪性が疑われれば精密検査をお勧め。
咽頭、食道、ぼうこう、脳内腫瘍などは、
自覚症状の問診情報から疑われる場合。
診察や問診は、本来特定のがん発見を目的としたものではなく、
気になる人は症状の現れた時期とともに健診時に相談して。

--最後に健康診断の大切さをアドバイスを。

◆自分の健康に関心を持ち、自分の健康状態を知るための
手段として健診を受けてもらいたい。
自分の健康のためにできることは、人任せにしてはいけない。
自分の健康は自分で守る。
そういった目的意識で健診を受けていただくと、
健診結果も活用できる。

健診で見つかるがんの大半は、早期がん。
逆に症状が出てしまってからでは、進行している例がほとんど。
早期がんは、発生臓器にとどまり転移のないもので、
治療によりほぼ100%治すことができる。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/9/17/107881/

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